初の胚移植試験が実施されました

2018年6月6日

本プロジェクトでは、在来豚での体外生産胚・超低温保存胚からの産子作製に取り組んでいます。プロジェクト開始からこれまで実験を重ねた結果、在来豚の卵巣より未成熟卵を回収し、体外成熟ならびに体外受精を行い体外受精卵を作製し、さらに体外培養を行うことで体外胚生産が得られることが確認されています。さらに、これらの未受精卵や体外受精卵は超低温保存ができることも確認されました。今後は、こうして作製された在来豚の胚の外科的移植を行う計画です。

在来豚の胚移植の実施に先立ち、6月6日にはランドレースの未成熟卵と在来豚の凍結融解精子を体外受精させた受精卵(Zygote)の外科的移植試験が行われました。ランドレースの雌豚は、事前にホルモン剤(eCGならびにhCG)を使って発情同期化をおこないました。移植用の受精卵は、ベトナム側研究機関3カ所それぞれで準備したものを使用しました。

現在までのところ結果は良好で、移植が行われた翌日にはランドレース3頭とも順調に回復し、問題がないことが確認されています。妊娠していれば、114日の妊娠期間を経て9月末には初の産子出産となります。今回は、ランドレースの卵と在来豚の凍結精子を用いて胚移植を行いましたが、今後2回程度の移植実験を重ね、10月には初の在来豚の卵と精子による胚移植の実験を行うことを計画しています。

(文責:山岸信子、業務調整員)

【画像】

受精卵の外科的移植試験の様子