在来ブタ資源をアフリカ豚コレラから守るバイオセキュリティの取組み

2019年8月20日

本プロジェクトでは、在来ブタ資源の保存と活用を目的として、貴重な在来ブタの育種に取組んでいます。北部山岳地帯畜産研究開発センターは、ハノイの北80キロに位置するタイグエン省にある国立畜産研究所の施設で、同タイグエン・センターでは現在、バン品種(イエンバイ省)のオス10頭、メス8頭を飼育し、7ペアを作って育種を行っています。

タイグエン・センターに建設された施設は検疫施設と育種施設に分かれており、センターの外から輸送された個体は3週間の検疫期間を検疫施設で過ごします。その後、感染症などに罹っていないことを確認したのち、育種施設に移動します。タイグエン・センター自体は周囲から塀で隔離されているものの、近くには養豚農家も点在しているため、バイオセキュリティには細心の注意を払って育種活動を行っています。

ベトナムでは今年2月、初めてアフリカ豚コレラの感染が確認されて以来、これまでに全国に感染が拡大しており、タイグエン省も例外ではありません。こうした状況の中で、センターはプロジェクトで育種する在来ブタを守るため、これまで以上にバイオセキュリティを強化しています。タイグエン・センターの入り口に消毒槽をつくり、センターの敷地に出入りするすべての車輛が消毒槽を通ってから中に入れるようにしました。施設に出入りする人や車輛も厳しく制限しています。また、ブタの世話をする担当スタッフを固定し、週末もセンターで寝泊まりすることとし、外部からの感染の機会を可能な限り少なくしています。豚舎は定期的に消毒し、飼料の野菜もセンター内で栽培されたものに限定しています。

アフリカ豚コレラの感染はベトナムの養豚にとって大きな脅威ではありますが、これを機会にベトナム関係者がバイオセキュリティを真剣に考えるきっかけになればと考えています。多くのブタがアフリカ豚コレラに感染し処分される中で、在来ブタ資源を保存することの重要性もベトナム関係者から認識されつつあります。

文責:山岸信子(プロジェクト調整員)

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出産後の在来ブタの母子

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出産後の在来ブタの母子

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豚舎は定期的に消毒し、餌の野菜もセンター内で栽培し、菌をセンター内に持ち込む機会を減らします。

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豚舎は定期的に消毒し、餌の野菜もセンター内で栽培し、菌をセンター内に持ち込む機会を減らします。