健康保険加入促進ツールとしてのコミックの作成

2019年10月11日

ベトナムでは、2025年までに健康保険加入率95%以上を達成することを目指しています。本プロジェクトでは、その目標達成を支援するため、非加入の要因を現地調査によって明らかにし、その結果に基づいて、広報ツールを作成しました。

現地調査は2018年4月に実施し、健康保険加入率が低い6つの地域で、非加入者を対象にインタビューを行いました。その結果、健康保険に加入しない主な理由として、「保険料を支払う金銭的余裕がない(65.6%)」、「現状、健康に問題がない(54.8%)」、「他のものにお金を使いたい(51.9%)」、「薬局での薬の処方を好む(51.2%)」、「加入手続きが複雑である(39.6%)」などが挙げられました(有効回答数は2,366、複数回答有)。より詳しく非加入の要因を調べるため、統計分析を行ったところ、健康保険に関する権利や給付の内容、自己負担額に関する知識が不足していると健康保険に加入しない傾向にあることが明らかになりました。

調査結果を踏まえ、カウンターパートであるベトナム社会保障(VSS)と協議を行い、加入を促進する広報ツールとしてコミックを作成しました。コミックは学生向け、インフォーマルワーカー向けの2編からなり、健康保険に加入することの重要性を訴えるストーリーとしています。また、読み手の健康保険に対する関心及び知識の向上を促進するため、コミックの最後のページには保険料額や加入手続きなどといった健康保険制度の概要を記載しています。とくにインフォーマルワーカーを対象としたコミックには、加入に必要な申込用紙を添付し、加入を促す工夫をしています

今後は、作成したコミックを配布し、配布効果を測定する予定です。「作成して配布」で終わってしまっては、「その活動は本当に実施するべきだったのか」、「将来、同様の活動を実施するべきなのか」といった問いに答えることができません。ステークホルダーへの説明責任を果たし、将来の活動のための政策エビデンスを提供するべく、評価まで実施し、今後の政策提言に活用します。

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コミックの表紙(左:学生向け、右:インフォーマルワーカー向け)

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健康保険に対する関心や知識の向上の促進をねらう