世界及びベトナムにおける経済集中届出義務に係る注意

2021年11月25日

世界及びベトナムにおける経済集中届出義務に係る注意(2021年11月25日公表)

競争消費者庁(VCCA)は、2021年11月25日、世界及びベトナムにおける経済集中届出義務に関して注意喚起しました。以下、要旨を記載します。

11月20日、中国競争当局は、Alibaba Group、Tencent Holdings Group、JD Retail Group、Suning、Baidu Company等のテクノロジー企業が、M&Aの実施に当たり、中国競争当局への届出義務違反をしたとして行政処分を科した。公開情報によれば、上記のテクノロジー企業は、2012年から現在までの8年間に合計43件のM&A取引が存在することを中国競争当局に通知する義務を怠ったとされている。また、届出義務に違反する各取引には、50万元(約80,000ドル)の罰金が科せられる。これは、2008年中国独占禁止法に基づくM&A届出義務違反に対する最大の行政処分である。
M&A取引の届出義務違反に対する行政処分は、中国以外にも、米国、欧州、アルゼンチン等でも発生している。
ベトナムでは、2018年競争法により経済集中取引の届出義務が規定されているところ、企業は、世界でM&A取引を行う際と同様に、ベトナムでも2018年競争法及び細則政令(No.35/2020/ND-CP)第13条を遵守するように注意を払う必要がある。具体的には以下のとおりである。

細則政令(No.35/2020/ND-CP)第13条(経済集中届出の対象範囲)

1.経済集中に参加する各事業者は、本条第2項に定める場合を除き、競争法第33条1項の規定に従い、以下のいずれかに該当する場合、経済集中を行う前に、国家競争委員会に届け出なければならない。
a)ベトナムの市場における、事業者または当該事業者の所属する連結事業者グループの総資産が、経済集中を行う年の直前の会計年度において3兆ドン以上である場合。
b)ベトナムの市場における、事業者または当該事業者が構成員である連結事業者グループの総売上高あるいは総購入高が、経済集中を行う年の直前の会計年度において3兆ドン以上である場合。
c)経済集中の取引価値が1兆ドン以上である場合。
d)経済集中参加する事業者の関連市場における市場占有率の合計が、経済集中を行う年の直前の会計年度において20%以上である場合。

2.経済集中に参加する金融機関、保険事業者、証券会社である各事業者は、競争法第33条1項の規定に従い、以下のいずれかに該当する場合、経済集中を行う前に、国家競争委員会に届け出なければならない。
a)ベトナムの市場における、保険事業者または当該事業者の所属する連結保険事業者グループ、証券会社または当該会社の所属する連結証券会社グループの総資産が、経済集中を行う年の直前の会計年度において15兆ドン以上である場合。ベトナムの市場における、金融機関または当該金融機関の所属する連結金融機関グループの総資産が、経済集中を行う年の直前の会計年度において、ベトナムの市場における金融機関全体の総資産の20%以上である場合。
b)ベトナムの市場における、保険事業者または当該事業者の所属する連結保険事業者グループの総売上高または総購入高が、経済集中を行う年の直前の会計年度において10兆ドン以上である場合。ベトナムの市場における、証券会社または当該会社の所属する連結証券会社グループの総売上高または総購入高が、経済集中を行う年の直前の会計年度において3兆ドン以上である場合。ベトナムの市場における、金融機関または当該金融機関の所属する連結金融機関グループの総収益が、経済集中を行う予定の年の直前の会計年度において、金融機関全体の総収益の20%以上に達した場合。
c)保険事業者、証券会社の経済集中の取引価値が3兆ドン以上である場合。金融機関の経済集中の取引価値が、経済集中を行う年の直前の会計年度における金融機関全体の総定款資本の20%以上に達した場合。
d)経済集中に参加する事業者の関連市場における市場占有率の合計が、経済集中を行う年の直前の会計年度において20%以上である場合。

3.経済集中がベトナム国外において実施される場合、経済集中届出の対象範囲には、本条の第1項a号、b号またはd号、第2項a号、b号またはd号が適用される。

なお、経済集中に関する届出基準については、以下の記事でも紹介しています。