プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)建設事業管理制度構築能力向上プロジェクト(SMTC-P)
(英)Project for Capacity Enhancement in Developing State Management Tools for Construction Project(SMTC-P)

対象国名

ベトナム社会主義共和国

署名日(実施合意)

2019年11月12日

プロジェクトサイト

ベトナム国全土
(研修想定地:ハノイ市、ダナン市、ホーチミン市)
(パイロット実態調査想定地:ハノイ市、ハナム省、ホアビン省およびこれらの周辺地域)

協力期間

2020年2月17日から2023年2月16日

相手国機関名

(和)ベトナム建設省 建設経済庁、建設経済院、建設・都市幹部育成センター
(英)State Authority for Construction Economics(SACE), Institute of Construction Economics(ICE), and Academy of Managers for Construction and Cities(AMC)of the Ministry of Construction(MOC)

背景

ベトナム社会主義共和国(以下、「ベトナム」という。)は、1986年から始まったドイモイ政策により市場経済が導入され、海外直接投資の増加を梃子に順調な経済成長を実現してきました。多数の大規模インフラ整備事業が実施されてきましたが、以下のような問題があります。

ベトナムの建設事業の問題点

・大規模インフラ建設の実施経験が不足している。
・建設事業一般において品質管理・安全管理への配慮が十分ではないことに起因して、建設現場での事故が頻繁に発生している。
・建設事業の契約管理では国際慣行と整合しない部分があり、契約履行時にしばしば紛争が発生し、円滑な事業実施の妨げとなっている。
・建設事業の品質・安全とコスト管理に大きく影響する契約管理制度・工事積算制度は、依然として片務的で、また体系も古いままとなっている。

かかる状況の中、ベトナム建設省(Ministry of Construction)からの要請を受けて、JICAは「インフラ工事品質確保能力向上プロジェクト」(2010年5月~2013年12月)を実施し、品質検査に関する制度が強化され、現場での安全管理マニュアルが整備されるなどの成果を得ました。
また、JICAは「建設事業における積算管理、契約管理、品質及び安全管理能力向上プロジェクト」(2015年4月~2018年4月)(以下、「CCQS-P」という。)を実施し、日本でいうところの土木工事分野を対象とした積算ガイドラインの作成、建設工事受注者用の標準的な品質・安全管理計画書、建設工事発注者用の品質・安全管理監督検査要領等の整備、標準安全管理計画書の安全管理に関する省令への反映が行われました。
このCCQS-Pの活動成果は、ベトナム自国予算によって積算体系・積算システム構築・建設マネジメント体制の改善を目指す「建設事業の積算システム改善プロジェクト」(以下、「Project 2038」という。)の開始として結実しました。
今後、ベトナム政府はProject 2038の下に、歩掛・単価等の改訂、積算体系の改善作業を具体的に進める必要がありますが、MOCは知見不足を補いつつ、自ら適切に当該プロジェクトを実践していくために、我が国に対して「建設事業管理制度構築能力向上プロジェクト」の実施を要請しました。2019年11月12日に、JICAとMOCは、本技術協力プロジェクト実施にかかる討議議事録(Record of Discussions:R/D)に署名しました。

目標

上位目標

ベトナムの公共建設工事の積算制度が改善される。

プロジェクト目標

MOCにおいて公共建設工事の積算制度を改善する能力が向上する。

成果

成果1:SACEにおける建設工事の労務・機械歩掛の策定能力が強化される。
成果2:SACEにおける建設工事の材料、労務、機械単価の策定能力が強化される。
成果3:SACEにおける建設工事の間接費の算定能力が強化される。
成果4:SACEにおける調査・設計・施工監理の歩掛の策定能力が強化される。
成果5:SACEにおいて積算体系・システムの改善能力が強化される。

活動

成果1に係る活動

1-1.既存の労務・機械の歩掛の策定方法や更新状況を確認する。
1-2.Project 2038における労務・機械の歩掛のレビュー状況を確認する。
1-3.労務・機械歩掛の策定手法を構築する。
1-4.労務・機械歩掛の実態調査実施要領を作成する。
1-5.労務・機械歩掛のパイロット実態調査を実施する。
1-6.労務・機械歩掛の実態調査実施要領に関する研修を実施する。

成果2に係る活動

2-1.既存の材料・労務・機械の単価の策定方法や更新状況を確認する。
2-2.Project 2038における材料・労務・機械の単価のレビュー状況を確認する。
2-3.材料・労務・機械の単価の策定手法を構築する。
2-4.材料・労務・機械の単価実態調査実施要領を作成する。
2-5.材料・労務・機械の単価のパイロット実態調査を実施する。
2-6.材料・労務・機械の単価実態調査実施要領に関する研修を実施する。

成果3に係る活動

3-1.既存の間接費積算項目と手法を再確認する。
3-2.Project 2038における間接費設定の位置付けと方向性を確認する。
3-3.Project 2038の位置付けと方向性に沿って間接工事費積算体系を改善し、積算手法を構築する。
3-4.間接費の実態調査実施要領を作成する。
3-5.間接費のパイロット実態調査を実施する。
3-6.間接費算定手法の実態調査実施要領に関する研修を実施する。

成果4に係る活動

4-1.既存の調査・設計・施工監理の歩掛策定方法や更新状況を確認する。
4-2.Project 2038における調査・設計・施工監理の歩掛のレビュー状況を確認する。
4-3.調査・設計・施工監理の歩掛の策定手法を構築する。
4-4.調査・設計・施工監理の歩掛の実態調査実施要領を作成する。
4-5.調査・設計・施工監理の歩掛のパイロット実態調査を実施する。
4-6.調査・設計・施工監理の歩掛の実態調査実施要領に関する研修を実施する。

成果5に係る活動

5-1.既存の積算体系及び構成をレビューする。
5-2.Project 2038における積算体系の位置づけと改善計画を確認する。
5-3.工種・細別項目の分類方法及びその設定方法を構築する。
5-4.建設事業(フィージビリティ調査時)における概略事業費算定手法を構築する。
5-5.建設事業における事業費(詳細設計時)及び工事変更金額(工事内容変更時)の算定手法を構築する。
5-6.建設事業における概略事業費算定および工事変更金額の算定手法に関する研修を実施する。
5-7.実態調査を継続的に実施するための組織・体制案を作成する。

投入

日本側投入

・専門家派遣:
長期専門家1名(チーフアドバイザー)
短期専門家14名(業務主任者/積算体系システム1、副業務主任者/積算体系システム2、歩掛1、歩掛2、材料・労務・機械単価1、材料・労務・機械単価2、間接費、実態調査1、実態調査2、積算、研修計画・運営1、研修計画・運営2、モニタリング、広報・啓発/業務調整)
・現地業務費:各専門家の活動に係る費用
・本邦研修:カウンターパートの本邦研修における研修員受入

相手国側投入

・C/Psの配置:R/Dに基づいて、以下を予定。
プロジェクトダイレクター:SACE庁長(Director General, SACE)
副プロジェクトダイレクター:ICE局長(Director General, ICE)、AMC副総裁(Vice President, AMC)
プロジェクトマネージャー:SACE副庁長
副プロジェクトマネージャー:ICE副局長
主なカウンターパート:SACE、ICE、AMCの幹部と職員。WGのメンバーとして配置。
・JICA専門家のための執務室
・その他必要な経費
1)パイロット実態調査にかかる費用(ベトナム側関係者分の費用)
2)ベトナム国内で実施される研修やセミナーの開催費用および参加者の旅費・日当
3)プロジェクトに必要となる資料・情報の提供
4)MOCへの通行許可及び実態調査のためのプロジェクトへの参加許可
5)専門家執務室の机、ロッカー等の事務機器
6)専門家のためのビザの発行及び延伸手続き
7)プロジェクト遂行のためのカウンターパート(C/Ps)及びベトナム側関係者の人件費、運営費、活動費
8)本邦研修における研修生への日当