ザンビア共和国MOReDeP 難民定住地における稲作支援を通じて

2021年12月8日

MOReDePではUNHCRと連携して難民、および元難民に対して稲作の技術指導を実施しています。今回はルアプラ州にあるマンタパラ難民定住地での活動についてご紹介させて頂きます

マンタパラ定住地は、主にコンゴ共和国からの難民を受け入れるために、2018年にルアプラ州チェレンゲ郡に開設されました。現在約5,000名の難民が、8000ヘクタールの敷地内に点在する11の村で地元住民と共に暮らしています。

ザンビア政府は、UNHCRやNGOと連携し、物資の支援を行っています。加えて、難民が自立することを目的に、園芸作物や家畜飼育の技術支援も行っており、これらの支援を通じて難民が自ら小規模な事業を営むことを期待しています。

2020年、UNHCRはチェコ共和国のNGO団体であるCaritas Czech Republicを通じて、難民の30名の農家に対して稲作支援を開始しました。同年、更なる稲作技術の向上、および受益者の拡大を目的に、UNHCRからMOReDePへ支援要請があり、MOReDePからは、農家、および普及員に対して稲作技術研修を行いました。

2021年4月、同定住地が稲の収穫期を迎える前に、MOReDePは同農家、および地域を担当する普及員に対して収穫/収穫後処理の技術研修を実施しました。この研修で適切な収穫や貯蔵を含めた収穫後処理の技術を学んだ農家が、コメの品質を向上させることで所得を向上させること、そして食料として適切に貯蔵することで、長期的に農家の食糧事情を改善させることを期待しています。同研修にコンゴ共和国からの難民のみならず、同地域で稲作を営むザンビア人も参加しました。この研修が地域の農業に貢献し、また地域交流のきっかけになれば幸いです。

ザンビアにある難民定住地の多くは稲作に適した湿地帯を有しており、それらの湿地帯は、雨季になると冠水することから、他の畑作物が育ちづらい環境であることが多いです。そのため、難民定住地における稲作支援は、作物の置き換えではなく、手つかずの土地を有効活用することで、地域の農業振興に貢献する側面も有しています。また、MOReDePでは、自国に帰る意思のある難民に対しても稲作研修を行うことで、自国での自立に繋がるのではないかと考えています。

UNHCRとMOReDePは、マンタパラ以外の定住地においても連携を進めており、これまでに約200名の難民・元難民への稲作支援を行ってきました。今後、研修の効果を評価し、さらに支援の規模を拡大する予定です。

文責 MOReDeP後藤明生(JICA専門家)

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支援を受けた難民が収穫した稲を脱穀する様子

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稲作農家に指導を行うUNHCR職員

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稲田を訪問するMs. Lorna氏(ZARI)