プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)市場志向型農業振興プロジェクト
(英)Project for Zimbabwe Smallholder Horticulture Empowerment and Promotion(ZIM-SHEP)

対象国名

ジンバブエ共和国

署名日(実施合意)

2018年10月18日

プロジェクトサイト

マショナランド・セントラル州、ミッドランズ州、マショナランド・イースト州、マニカランド州、マシンゴ州、マショナランド・ウェスト州、マタベレランド・ノース州、マタベレランド・サウス州

協力期間

2019年3月12日から2025年3月11日

相手国機関名

(和)土地・農業・水産・水・地方開発省
(英)Ministry of Land, Agriculture, Fisheries, Water and Rural Development

背景

当該国における農業セクターの開発実績(現状)と課題

ジンバブエ共和国(以下、「ジンバブエ」)では、人口の約67%が農業に従事しており、農業生産額はGDPの10%(2014年)、タバコの輸出額は全輸出総額の約31%(2016年)を占め、ジンバブエ経済において農業セクターは重要な産業と位置付けられている。
1980年の独立以降、経済成長は堅調であったが、2000年以降のイギリス系を中心とするヨーロッパ系ジンバブエ人が所有する大農場の強制収容等を通じた土地改革による混乱、経済危機とハイパーインフレなどにより、商業的な農業生産技術が失われ、農業政策全体が停滞し、農業生産は激減した。2009年に政治・経済情勢は落ち着いてきたが、国家財政は低迷が続き、農業普及を含む行政サービスも低水準のままである。
近年ジンバブエ政府は、2000年の土地改革以降に農業セクターの主要な担い手となった小規模農家の生産能力の向上に注力しており、特に灌漑が利用できる土地を持つ小規模農家に対して、穀物や園芸作物の生産量増加の支援を行っているが、農家の市場アクセスが限定的で適切な販売先を確保できない、栽培技術が不十分、収穫時期が集中して価格暴落が起きてしまう等、の様々な課題に直面している。
JICAは、TICADVで表明された「市場志向型農業振興(以下、「SHEPアプローチ4」)」の広域化を進めるため、2014年度以降、課題別研修「アフリカ地域市場志向型農業振興(行政官コース・普及員コース)」に農業・機械化・灌漑開発省農業技術普及サービス局(以下、「AGRITEX」)の職員を招聘した。その後、研修員が作成したアクションプランに基づくパイロット事業が、AGRITEXにより選定された5か所の灌漑サイトで実施され軌道に乗っている。これらの活動とSHEPアプローチの有効性を評価したジンバブエ側は、SHEPアプローチをさらに同国で広め、小規模園芸農家の生産性やマーケティングを強化し生計向上を目指す支援を我が国に要請した。

目標

上位目標

SHEPアプローチによる普及サービスを受けられる裨益人口が増える

プロジェクト目標

プロジェクト対象小規模農家が所得が向上したと感じる

成果

成果1:SHEPアプローチの実施体制が構築される
成果2:ジンバブエ版SHEPアプローチの普及パッケージが確立される
成果3:SHEPアプローチの普及パッケージが対象灌漑事業地で普及員によって継続的に実践され、対象農家以外の農家への拡大をプロジェクトによって奨励される

活動

成果1

1-1.JCCで対象州を選定する。
1-2.州AGRITEXの情報を基に、対象灌漑地区を選定する。
1-3.選定された郡の灌漑地区と責任、役割分担について合意する。
1-4.上記責任・役割分担に従った成果3の活動をモニタリング、指導する。
1-5.既存の報告システムを用いて、成果3の活動の進捗、成果、課題を定期的に共有する。
1-6.ZIM-SHEPパッケージを対象灌漑地区以外の灌漑地区にも広めるためのワークショップを州と郡が開催する。
1-7.ZIM-SHEPパッケージをAGRITEX Strategic Planに組み込む

成果2

2-1.パイロットサイトでの進捗、成果、課題をレビューする。
2-2.AGRITEXや他ドナーによる市場志向型農業支援の活動内容、成果、課題をレビューする。
2-3.活動2-1、2-2と成果3の活動に基づき、ZIM-SHEPパッケージを作成する。

成果3

3-1.州、郡の普及員にZIM-SHEPパッケージに沿った研修を実施する。
3-2.対象州および郡が、実施計画を策定する。
3-3.対象地域の普及員が、ZIM-SHEPパッケージに沿って、農家に対して研修を行う。
3-4.第一サイクルの後、州が少なくとも一つの灌漑地区か農家グループを選定し、ZIM-SHEPパッケージに沿った研修を行うのを奨励する。
3-5.普及員が対象農家に対してモニタリング・助言を行う。

投入

日本側投入

・専門家チーム
総括/SHEPアプローチ
業務調整/マーケティング
園芸
ジェンダー

ほか、必要に応じて
・カウンターパート本邦研修:アフリカ地域市場志向型農業振興(行政官)コース受け入れ
・機材供与:活動に必要な機材の購入(車両、事務機器など)
・プロジェクト活動経費

相手国側投入

・カウンターパート人員の配置
プロジェクトダイレクター 土地・農業・水・地方再定住省 AGRITEX局長
副プロジェクトダイレクター 土地・農業・水・地方再定住省 灌漑局長
プロジェクトマネージャー 同省 AGRITEX副局長
カウンターパート 同省AGRITEX内 SHEPチーム

・事務所スーペースの提供
・プロジェクト活動経費