ベースライン調査結果報告会開催

2022年11月29日

2022年11月25日と26日の2日間の日程で、プロジェクトの「ベースライン調査結果報告会」をマシンゴ州マシンゴ市にて開催しました。報告会には、保健省から4名、中央病院から8名、州病院から14名、日本人専門家2名の計28名が参加し、ベースライン調査結果をもとに今後の活動内容等の検討に向けた活発な議論が行われました。

【画像】ベースライン調査結果報告会参加者集合写真(2022年11月26日)

ベースライン調査の概要

プロジェクトでは、対象病院の医療サービスの提供状況や管理方法に関する現状を確認するために、以下の通り、ベースライン調査を実施しました。本調査では、調査員を対象病院のマネジメント層や質管理部門の担当者に依頼することで、現状における問題に対する当事者の認識やオーナーシップを醸成することを狙いました。また、調査員が他の対象病院の調査を実施することで、当事者同士の「学び合い」を促進する機会としても位置付けました。

【期間】
2022年6月~7月

【調査対象】
全国10か所の州保健局、6つの中央病院、8つの州病院

【主な調査項目】
1)州保健局の基礎情報と質管理体制
2)病院経営やサービス提供に関する情報
3)病院職員の質管理に関する経験
4)対象病院における患者の満足度

【画像】

チノイ州病院での調査の様子(2022年7月13日)

【画像】

グエル州病院での調査の様子(2022年7月19日)

ベースライン調査結果の要点

調査結果として、主に以下の点が確認でき、プロジェクトで支援するポイントが明らかになりました。

・州保健局が管轄域内の医療施設に対して実施する質管理活動の研修や定期モニタリングなどを効果的に実施するための組織体制に課題がある。
・対象病院では、医療サービスを提供するための資源に限りがある環境においてもサービスの質改善に積極的に取り組んでいる、と考えているモチベーションの高い職員が多い。
・一部の対象病院では5S活動の院内普及が進んでいる。他方で、多くの対象病院では、5S活動の院内普及や継続、QCストーリーの導入、質担当部局の活動(院内モニタリング、研修など)、医療安全にかかる報告体制、院内指導者の数や育成体制等に課題がある。
・対象病院において共通の病院運営や質管理のためのKPIs(Key Performance Indicators:重要業績評価指標)や収集方法が定まっていない。
・対象病院で調査を行った患者(約1,400名)のうち80~90%は「病院のサービスに満足~非常に満足している」と回答しているが、「病院職員の態度」や「障害者への配慮」、「外来患者の待ち時間」等、いくつかの項目では改善の余地が見られた。

【画像】

ベースライン調査の結果を発表する調査員(2022年11月25日)

【画像】

患者満足度調査の結果を発表する調査員(2022年11月26日)

調査結果に対する当事者が考える優先課題と解決に向けたアイデア

ベースライン調査結果報告会では、調査によって明らかになった対象病院が直面している課題に対して、自分たちで実行できる対策についてグループディスカッションを行いました。優先的な課題としてあげられたのは、「院内の質改善活動に必要な病院管理者のリーダーシップの不足」や「職員の医療の質向上に関する認識・知識・技能の不足」、「多職種連携や医師の巻き込みの必要性」、「院内モニタリング体制の強化の必要性」等でした。プロジェクトにとっては、今後の対象病院の現場に向けた効果的なアプローチを考える上で重要なアイデアが得られました。

【画像】

グループディスカッションの様子(2022年11月26日)

【画像】

グループディスカッション結果を発表する参加者(2022年11月26日)

今後は調査結果や今回の参加者からの意見をもとに、プロジェクトの活動内容等の見直しを進め、現地の関係者と共に、2023年から本格的なプロジェクト活動を始めます。