第1回カイゼン研修開催

2023年6月26日

2023年6月19日から24日まで、ミッドランズ州グウェル市にて、対象病院向けのカイゼン研修を開催しました。全国の対象14病院のうち12病院から計38名の病院職員が参加し、カイゼン活動の実践に欠かせないポジティブな思考や姿勢(Positive attitude / mind-set)やQCストーリー(注1)の活用方法などについて学びました。

(注1)QCストーリー:品質管理(Quality Control)や品質向上のための問題解決や課題達成のためのプロセスや手順の進め方のこと。

【画像】QCストーリーに関するグループワークの様子

研修概要

研修後に参加者が5S活動やQCストーリーを活用できるようになることを念頭に、座学・実習・討論等を組み合わせて実施しました(主な指導項目は以下)。加えて、対象病院のひとつであるグウェル州病院への視察プログラムも実施し、5S-KAIZEN活動の現場への適用や実践状況の観察、モニタリング・評価ツールの活用演習等、より実用的な研修内容になるよう工夫しました。

主な指導項目

  • ジンバブエの保健サービスの現状
  • ジンバブエにおける5S-KAIZEN-TQM手法の実施状況に関する課題
  • 質改善に向けたポジティブマインドセット
  • 病院における質と患者安全に関する基本概念
  • 5S-KAIZEN-TQM手法の基本概念
  • リーダーシップとチームワーク
  • 質管理のための組織実施体制
  • トップマネジメントの役割と責任
  • 質管理活動のPDCA
  • 5Sの概要
  • カイゼンの概要
  • QCストーリー(ステップ1~7)
  • 5S-KAIZEN-TQM活動のモニタリング・評価とツール
  • 病院訪問(現場における5S-KAIZEN活動の観察とモニタリング・評価演習)
  • アクションプランの作成

【画像】

チームワーク強化のためのアクティビティ「チ―ムの鎖」を実践する参加者

【画像】

QCストーリーに関するグループワーク結果を発表する参加者

【画像】

5S-KAIZEN-TQM手法におけるモニタリング・評価について解説する宮本専門家

【画像】

グウェル州病院への病院視察プログラムの様子

【画像】

グウェル州病院の中央滅菌室を視察する参加者

【画像】

レーダーチャート等を使いながら病院視察の結果を発表する参加者

帰国研修員など現地ファシリテーターの活躍

研修ファシリテーターには、カウンターパート機関である保健・児童福祉省の質管理・患者安全局(以下、QAPS局)の職員の他、過去に本邦研修に参加した帰国研修員や5S-KAIZEN-TQM手法の実践・指導の経験が豊富な現地病院関係者を指名し、日本人専門家と講義や演習を分担して、研修を実施しました。

彼らは、自分たちの施設での実践内容やこれまでの経験等を踏まえて活発に講義や演習を進め、ジンバブエでの同手法の必要性や重要性について参加者がより理解できるよう工夫してファシリテーションに積極的に取り組む様子が見られました。

【画像】

チームワークに関して講義するグウェル州病院の看護教員(2022年12月の本邦研修の研修員)

【画像】

5Sの実践状況に関して講義するチノイ州病院長

【画像】

QCストーリーに関するグループワークで参加者に助言するQAPS局職員(2022年12月の本邦研修の研修員)

【画像】

QCストーリーについて講義するヴィクトリア・チテポ州病院長(2022年12月の本邦研修の研修員)

研修の成果・評価

本研修では、研修プログラムのすべてに参加した参加者には「研修修了証」を、ポストテストで100点中70点以上を獲得した参加者には「能力証明書」を授与することとしました。研修の結果、参加者38名全員が研修修了証、うち36名が能力証明書を受取ることができました。

また、プレテストとポストテストの結果を比較すると、研修後で平均点が向上しており(プレテスト平均点:64.5点、ポストテスト平均点:84.7点)、研修による参加者の知識向上がうかがえました。

加えて、最終日に実施した参加者による研修プログラムの評価では、研修への満足度として、回答者(注2)の67%が「非常に満足」、33%が「満足」と答えており、満足度の高い研修を実施することができました。

(注2)参加者38名のうち37名が回答。

【画像】

研修の総括をする宮本専門家

【画像】

研修修了証授与式(左から研修参加者、QAPS局長、宮本専門家)

研修参加者は、本研修の学びを基に、各病院の質管理部局で取り組むべき活動についてアクションプランとしてまとめました。研修終了後に各病院で最終化する予定です。今後アクションプランの最終化やその実施状況について、プロジェクトでモニタリングし、対象病院における質改善活動の活性化と定着を図ります。

【画像】研修参加者の集合写真