プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)5S-Kaizen-TQM手法による医療サービスの質向上プロジェクト
(英)Project for Quality Improvement of Health Service Through 5S-Kaizen-TQM approach

対象国名

ジンバブエ共和国

署名日(実施合意)

2022年2月4日

協力期間

2022年5月2日から2026年5月1日

相手国機関名

(和)ジンバブエ保健児童福祉省
(英)Ministry of Health and Child Care, Zimbabwe

背景

ジンバブエにおける保健医療分野の状況は、HIV、結核、マラリア等の感染症による死亡率は依然として高い一方、社会階級に関わらず非感染性疾患も主な死因となりつつある。5歳児以下の死亡率に関しても、早産、周産期仮死、敗血症が全体の44%を占めていると言われ、2015年までの開発目標であったミレニアム開発目標(MDGs)の乳児死亡率削減、HIV/エイズやマラリア等の蔓延防止に関して、2030年までの持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためには、今後も保健医療サービスの質向上を含むさまざまな改善が課題となっている。
このような背景の下、ジンバブエ保健児童福祉省(以下、「保健省」)は、「国家保健戦略」(2016~2020年の期間を対象とした5ヵ年戦略)において、質の高い医療保健サービスへのアクセスの向上を目標に掲げ、保健医療システムの強化を目指した。さらに、「国家開発戦略」(2021~2025年の5ヵ年計画)においては、プライマリーヘルスケアへのアクセスの強化、保健医療システムにおける患者負担の軽減と合理化、保健医療サービスの向上を目指している。
ジンバブエのすべての公立病院は、第1次医療施設レベル(クリニックや保健センター)、第2次医療施設レベル(郡病院等)、第3次医療施設レベル(州病院)、第4次医療施設レベル(中央病院)に分類され、より上位のレベルの医療施設では専門的な治療を受けられる仕組みとなっている。一方で、2000年代以降は経済の悪化により、これらの公立病院において提供される適切な診断や治療を含む医療サービス全般の質の低下は深刻な課題である。また、インフレーションの影響も受けて医療従事者に十分な給与が支払われない状況等も影響して、医療従事者の国外流出、基本的な医療物資の不足、医療器材のメンテナンス技師の不足、医療機器のスペアパーツを含む医療資材の調達困難等、医療サービスを提供する上での多くの課題に直面している。
このような現状を打開し公立病院におけるサービスの質向上を図るための5S-Kaizen-TQM手法の導入と活用をすすめるために、JICAは技術協力の一環として個別専門家を派遣した(5S-KAIZEN-TQM手法による医療サービス質向上(協力期間:2016年7月1日~2018年4月30日)、日本型品質管理手法による医療セクターにかかる質向上(協力期間:2019年10月~2021年10月)。本技術協力の成果として、一部の病院で5S-Kaizen活動が自発的に実施されることによって、医療サービスを受けるまでの待ち時間短縮等の成果を得た。保健省は、既存の資源を有効活用し、保健医療サービスの質の継続的な向上のために、5S-Kaizen-TQM手法の更なる推進と定着を目指し、「5S-Kaizen-TQM手法による医療サービスの質向上プロジェクト]を我が国に要請した。

目標

上位目標

保健省QA/QI局の指導の下、対象病院の保健医療サービスの質が向上する

プロジェクト目標

保健省QA/QI局の指導の下、対象病院の病院マネジメントが向上する

成果

1.保健省QA/QI局及び州保健局の各病院に対する5S-Kaizen-TOM手法を活用した病院マネジメントの指導・監督能力が強化される
2.対象の中央及び州病院において、オペレーショナル・ガイドに基づき、5S-Kaizen-TQM手法を導入し、病院マネジメントを向上するための実施監理体制が強化される

活動

成果1に関連する活動】

1-1.5S-Kaizen-TQM手法を全国の病院に広めるための戦略(関連組織の役割と手順)を示したガイドラインの改定
1-2.ガイドラインの内容に基づくモニタリング・評価(以下「M&E」)ツール(報告フォーマット)の改訂と定着促進(各病院からの自己モニタリングとしての報告書提出、保健省による集計分析と年次報告書作成、保健省による訪問指導ツールの開発)
1-3.保健省が実施する病院マネジメント層、州保健局QA/QI担当者、各病院質改善チーム(以下「QIT」)/職場改善チーム(以下「WIT」)メンバー(実務者層)向けの研修モジュール(教材含)の開発・改訂
1-4.活動1-3に基づく研修実施
1-5.保健省QA/QI局が対象病院を、州保健局が州病院を、それぞれ指導するモニタリング・スーパービジョン(以下「M&S」)の基本計画の策定
1-6.保健省QA/QI局及び州保健局による対象病院への巡回指導の実施(活動が進んでいない対象病院に対するQA/QI局による技術支援訪問の実施、対象病院からのモニタリング報告と巡回指導の結果に基づく病院マネジメント向上に向けた資源配分への反映)
1-7.各対象病院の年次計画、年次報告書作成のための研修実施、サポートプロジェクトニュースレター(Kaizen通信)など、病院間での情報共有ツールの発行
1-8.5S-Kaizen-TQM表彰コンテストの開催(毎年)
1-9.対象病院におけるグッドプラクティスを対象外の公立病院に共有するためのワークショップの実施

成果2に関連する活動

2-1.対象の中央及び州病院の医療サービス提供に関する現状と課題点を評価する。
2-2.各中央及び州病院(対象部門)における顧客満足度に係るベースライン、定期調査の実施
2-3.各中央及び州病院における5S-Kaizen-TQM実施責任者とTOR(日常的な管理から各病院責任者へ報告する範囲)の策定
2-4.対象中央及び州病院のマネジメント層、QIT/WITメンバー向けのリーダーシップ研修の実施
2-5.保健省QA/QI局職員による、各中央及び州病院に対する5S-Kaizen-TQM手法研修の実施
2-6.各病院での病院マネジメントに資する5S及びカイゼン活動の実施、自己モニタリング・レビュー
2-7.改善された事例のグッドプラクティスとしての各病院での共有

投入

日本側投入

専門家の配置

1.業務主任/5S-Kaizen-TQM推進 1
2.副業務主任/病院運営管理
3.5S-Kaizen-TQM推進 2
4.モニタリング/評価
5.研修管理

プロジェクトの実施コスト

1.研修やフォーラム等の開催費用
2.介入サイト(医療施設等)における活動関連費用

相手国側投入

カウンターパートの配置

1.保健省(質保証/質改善局):プロジェクトディレクター、プロジェクトマネージャー他
2.中央病院、州病院
3.州保健局

機材やスペースの供与

専門家の執務スペース、その他プロジェクト実施に必要な機材等

ローカルコスト

プロジェクトの運営にかかる費用等