2019年12月12日
12月3日冬を迎えた宮城県丸森町に、駐日ザンビア共和国大使館のンディヨイM.ムティティ大使ら4名が訪れました。2019年10月に日本の広い範囲に被害をおよぼした台風19号に対するお見舞いが目的です。この訪問はムティティ大使から「丸森の状況に大変心を痛めている。我々の親友である丸森に何かできることはないか」との申し出がJICA東北に寄せられ、実現したものです。
丸森町では河川の決壊や土砂崩れによる宅地、農地の被害、また残念ながら人的な被害も発生しました。
被災当日はあと少しで浸水しそうになった1階ロビーから役場に入ると、被災に伴う各種の申請や相談窓口が並んでいます。いまでも多くの協力が必要とされていることが良くわかります。
保科郷雄町長に対しムティティ大使から「今回の台風被害に対してお見舞い申し上げると共に、復旧に向けて忍耐強く、規律正しく取り組む町民のお一人おひとりに敬意をお伝えしたい。2011年の東日本大震災からも復興を果たした皆さんなら必ず乗り越えられる」と激励がありました。保科町長からは「災害は甚大なものであったが、様々な方面からの協力もあり仮設住宅の整備など生活再建も進めている。今後も復興に尽力していくので、丸森とザンビアの変わらぬ関係、応援をお願いしたい」と応じました。
丸森町は2020年東京オリンピックパラリンピックのザンビア国ホストタウンになっています。「ザンビアは1964年の東京オリンピック閉会式当日に独立を果たし、時差の関係でザンビア国旗が世界で初めて掲揚されたのは東京の地でした。ザンビアにとって、日本は思い出深い特別な国なのです」とムティティ大使が逸話を伝えると、保科町長も「1964年のことは良く覚えている。災害からの復興はあるが、無事ザンビア選手と町民との交流が出来るよう進めていきたい。どんな種目・選手が来町するのか?」と楽しみにしている様子でした。
丸森町とザンビアの交流は2010年から始まり、その中心は耕野地区が担っています。2016年から2019年にかけてはJICA草の根技術協力事業を活用した農業支援を行っており、丸森町耕野はザンビアと日本の市民レベルにおける交流・協力の中心地のひとつと言えます。ムティティ大使らは町内の被災状況視察に続き、この耕野地区を訪れました。
「東京から丸森町耕野までお越しいただきありがたい」と耕野振興会の宍戸会長から感謝が述べられ、同会石塚総務部長からは今までのザンビアとの協力・交流、そして来年に開始予定であるJICA草の根技協の新事業についての説明がありました。
大使からは「ザンビアでは農業の発展がまだ必要であり、両国の農家同士による協力は素晴らしく感謝申し上げる。また新プロジェクト内定というニュースも大変うれしく、今後の協力もとても楽しみにしている」と期待が寄せられました。
JICA東北では、これからも地域の方々と共に国際協力と地域の活性化を進めて参ります。
(報告:市民参加協力課 辻)