コンゴ民主共和国でのクリミア・コンゴ出血熱の抗体調査

2023年3月14日

クリミア・コンゴ出血熱は、エボラ出血熱、マールブルグ出血熱、ラッサ熱と同様のウイルス性出血熱で、致死率は10-40%に達するとされています。クリミア・コンゴ出血熱に対するワクチンは、ヒト、動物用ともにまだ開発されていません。このウイルスは主にマダニや家畜からヒトに感染し、血液や分泌物等との接触で、さらにヒトからヒトへも感染します。農業従事者、食肉処理従事者あるいは獣医師など畜産業に関連した人に多く報告されていますが、その正確な発生状況は把握できていません。

このクリミア・コンゴ出血熱について、プロジェクトでは牛の抗体調査の実施を決定し、コンゴセントラル州マンガラ村にて検体採取を行いました(2023年2月20日~24日)。マンガラ村は2009年にバコンゴウイルスと命名された新たなウイルスが発見された村ですが、プロジェクトではこの村の住人のクリミア・コンゴ出血熱ウイルスに対する抗体保有調査を実施しているため、同村での調査が決まりました。

なお、調査は北海道大学にて2022年3月に博士号を取得したLOMBE氏(注)が中心となり、プロジェクトのチーフアドバイザーでもある北海道大学の髙田礼人教授の指導のもと進められています。コンゴセントラル州での検体採取は、LOMBE氏が現在所属している中央獣医学研究所(Laboratoire Vétérinaire Central)のスタッフも参加して、牛の血清とダニを採取しました。

今後プロジェクトでは、採取された検体を用いて解析を進め、クリミア・コンゴ出血熱ウイルスおよび同じく人獣共通感染症ウイルスであるバコンゴウイルスについて、感染状況、自然宿主、宿主域および伝播経路解明のための調査も実施する予定です。

牛の抗体調査・検体採取の様子

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