【PREPARE 健康危機対応能力強化に向けた感染症対策グローバルリーダー育成プログラム(長期研修)】第一期生が博士課程を修了

2022年3月31日

JICAのグローバル感染症対策人材育成・ネットワーク強化(注)の取組みとして、アフリカ地域の人材育成を目的とした「健康危機対応能力強化に向けた感染症対策グローバルリーダー育成プログラム」の長期研修員一期生9名と二期生1名が、今年3月に北海道大学と長崎大学の博士課程を修了しました。JICAが長年協力してきた感染症研究拠点から両大学で学ぶ研修員は、これまで40人に上りますが、今回修了する10名は、ケニア、ザンビア、コンゴ民主共和国から2017年冬に来日。4年間の博士課程のうち、後半の2年は新型コロナウイルス感染症流行の影響で、母国の家族とも会えない中での留学生活でしたが、困難を乗り越え、学位を取得したその表情はとても晴れやかなものでした。
留学生活を振り返っての研修員からのコメントは、長きに亘る日本での滞在を支えて頂いた、北海道大学人獣共通感染症国際共同研究所と、長崎大学熱帯医学研究所の先生方を始めとする、関係者の方々への感謝の言葉で溢れていました。

各自の研究成果についても、大学からの評価は非常に高いものでした。中には共著も合わせて20を超える論文の発表や、大学内外の研究者と共同研究を実施した研修員もいたように、それぞれ目覚ましい成果を挙げています。研修員の多くは、帰国後は出身組織である感染症研究機関に戻る予定で、引き続き研究を通じて感染症制御に当たりたいとの意気込みを語り、帰国の途につきました。

今回修了した研修員の出身国は、アフリカのサブサハラ地域に位置していますが、マラリアや黄熱病といった従来からの感染症のほか、近年でもエボラ出血熱のアウトブレイクが発生するなど、感染症の脅威に絶えず晒され続けています。コンゴ民主共和国出身の研修員は、留学の動機について「医療資源に限りがある母国では、治療より予防が何より勝る。医師として、感染症で手遅れの状態で病院に来る人たちを多く見てきた。だからこそ、早く発見し、診断できる新しい技術の習得が必要だった」と語ってくれました。
感染症の封じ込めには、国や地域を越えたグローバルな協力が必要になります。日本で学んだ研修員たちが、留学生活を通じて築いた日本国内外の感染症対策関係者との協力を強化し、さらには感染症対策においてリーダーシップを発揮して、研究と教育を推進できるグローバルリーダーとして活躍されることを期待しています。

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JICA北海道(札幌)での修了式。北海道大学博士課程修了の5名が参加した。

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長崎大学博士課程でも5名が修了。写真は実験室での様子

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指導教員の安田二朗教授と喜びを分かち合う研修員

(注)JICAは感染症により生命・健康が脅かされる事態に対し、健康危機対応能力強化に向けたグローバル感染症対策人材育成・ネットワーク強化(Partnership for Building Resilience against Public Health Emergencies through Advanced Research and Education(PREPARE))を推進しています。