第2回日本訪問-西日本自治体を中心とした訪問(2023年6月)

2023年7月5日

2023年1月17日の掲載記事の通り、本プロジェクトの3つのテーマ(防災・高齢化社会・データプラットフォーム)について日本での取組みを紹介するため、クリチバ関係者の本邦研修を全3回企画しています。第1回の本邦研修(2022年11月14日(月)~25日(金))に続き、第2回の本邦研修を2023年6月5日(月)から6月16日(金)の期間で実施しました。IPPUC及びクリチバ市から派遣団員8名が来日し、国土交通省、横浜市、西日本を中心とする地方自治体を訪問し、講義の受講と視察を行い、日本の各都市の高齢化社会、災害管理(気候変動対応を含む)、データプラットフォーム構築に関する都市政策とスマートなソリューションの適用に関する施策アプローチについて理解を深めました。各訪問先では、クリチバ市派遣団員と自治体職員との意見交換の時間も設け、相互に学び合える有意義な場づくりを目指しました。
プログラムは、上記の目的達成のため、大きく以下の要素で構成されます。
・プロジェクト関係者との意見交換・議論
・日本の都市課題に対する日本政府、地方公共団体等の取組みの紹介
・クリチバ市の検討テーマ候補に対する事例紹介と適用に向けた分析、枠組みの議論
・日本国内の事例の現地視察

今回の訪問の中から、神奈川県横浜市、兵庫県加古川市及び姫路市、最終日のプログラム振り返り・今後に向けた議論の様子をお伝えします。

横浜市の地球温暖化対策実行計画、内水氾濫抑制策、グリーンインフラについて(6月5日・6日)

横浜市より、同市の地球温暖化対策実行計画、内水氾濫抑制策について6月5日と6月6日に夫々講義頂きました。

• 横浜市地球温暖化対策実行計画について
同実行計画の内容、2011年に横浜市が設定した二酸化炭素排出量の基準や、市内の産業構造について、横浜市から講義を頂きました。2013年からの7年(~2020年)で24%の二酸化炭素排出削減を横浜市が達成したことについては、団員から高い関心が寄せられました。
• 内水氾濫抑制策について
浸水被害対策区域や浸透性舗装を中心に、横浜市の取組みについて理解を深めました。民間貯留施設設置のスキームにおける、国・市・民間の費用負担の割合や、国土交通省からの補助金制度についても、団員から熱心な質問がありました。
• グリーンインフラについて
グリーンインフラの例として、グランモール公園を視察しました。みなとみらい 21 地区の主要な歩行者軸として、約700mの全長に渡り様々な用途の建築敷地に接していることや、グリーンインフラ技術を採用した、大きな水循環の仕組みを実現する公園として、団員に紹介されました。

横浜市の施策は、クリチバ市と基本的には同じ方向性である為、今後も相互の学び合いをしていきたいとの前向きなコメントがIPPUCから寄せられました。

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加古川市のWell-being 向上を目指したスマートシティの取組みについて 6月14日

6月14日に加古川市を訪問し、岡田 康裕市長を表敬しました。その後、加古川市からの講義に加え、IPPUC団員からクリチバ市のスマートシティの取組みについても発表する時間を設け、相互の学び合いに重きを置いた訪問となりました。

• 加古川市のスマートシティの取組み
少子高齢化及び犯罪防止対策の一環として、こどもの登下校に不安がなく子育てしやすい街、高齢者が自分らしく生きられる街にするために「見守りカメラ」が市内に配備されています。「見守りカメラ」配備に向けた市民との対話、加古川市が新たに制定した「加古川市見守りカメラの設置及び運用に関する条例」、かこがわアプリ、日本国内で初の導入事例であるDecidim(Make our Kakogawa)などの取組みをご紹介頂きました。団員からは、「見守りサービス」の通知の仕組みと市民の関わり方を理解する上での多くの質問が講義中に寄せられ、Decidimに関する質問も相次ぎ、IPPUC側の関心の高さが伺えました。防災に関しては「行政情報ダッシュボード」と「ワンコイン浸水センサ」についても、団員に紹介されました。
• クリチバ市のスマートシティの取組み
クリチバ市のスマートシティにおける取組みに関する発表において、ゼロカーボンシティを目指す上での、クリチバ市の施策や電気自動車購入の補助金などについて、加古川市より質問が寄せられました。

加古川市、IPPUC側双方から今後も交流を行っていきたいとの意思が確認され、充実した訪問となりました。

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姫路市のウォーカブルと浸水対策の取組みについて6月15日・16日

6月15日、ウォーカブルと浸水対策の取組みについて、姫路市よりご説明を頂きました。同市の象徴的なプロジェクトである姫路駅前広場の再整備や人中心のコンパクトなまちづくりを基本方針としたウォーカブル推進計画とその取組みについて、ご説明頂き、視察も交えながら、団員は理解を深めました。また、浸水対策については、姫路市雨水管理総合計画や対応策をご紹介頂いたところ、雨量の計測値点数、下水のリサイクルといった技術的な質問から、災害時の体制など活発な質疑応答がなされました。
6月16日には、清元 秀泰姫路市長を表敬訪問し、ウォーカブルな街づくりについて、お城と駅、コンベンションセンターの歩行者道を整備して“飽きのこない”散歩を楽しむことによって、市民が健康に過ごる街づくりをしたいという、市長の思いを団員に共有頂きました。クリチバ市における交通政策(BRT)、防犯の取組、環境政策などにも話題が及び、講義も含めて、団員は非常に有意義な対話を姫路市と持つことができました。

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プログラム振返りと今後に向けた議論 6月16日

研修最終日の6月16日に、プログラム全体の振り返りと今後に向けた議論を実施しました。各訪問先での取組みの中で、クリチバ市が施策づくりで適応できうる事例を、高齢化社会対応、災害管理(気候変動対応を含む)、データプラットフォームの3つのテーマにおいて議論してもらいました。また、第1回および第2回日本訪問を総括し、今後も継続的に意見交換を行いたい自治体に関する意見も聴取しました。
研修員からは、「夫々の訪問先で温かく歓迎して頂いた」、「自治体の訪問数、研修テーマと自治体が扱うトピック範囲は適切で、非常に満足感の高く充実した研修だった」、「今後も複数自治体と学び合いの交流を行いたい」との感想が寄せられました。

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