新しい県でのFFS開始

2016年10月30日

6月から新たに西ハラルゲ県と西アルシ県でもFFSが始まった。東ショワ県でのFFS活動の評判がいいので、オロミア州農業局は東ショワ県以外でも活用できないかと考え出した。農業局からの正式な要請があって、プロジェクトでは他の県でもFFSを試すことにしたのである。一歩前進だ。しかし、本当に他の県でもうまくいくだろうか?
しかし、心配は杞憂だったようだ。東ショワ県以上に両県でのFFSはエキサイトしているらしい。政府があと押しするようになったせいか普及員も熱心だし、西ハラルゲ県の農家からは「どうしてこれをもっと早く持ってきてくれなかったんだ。」という声もあったという。「10年前にFFSで学んでいたら、今頃は自分ももっと豊かになってたのになあ。」

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西ハラルゲ県の傾斜地でのFFS実施の様子

郡専門官の喜び

西アルシ県アルシ・ネゲレ郡でもFFSが始まり、毎月FFS担当の普及員達の研修が行われるようになった。郡の畜産専門官のミンティアブさんはその技術研修に講師として招かれた。村に行って実際の畑で農家のグループと一緒にやるのだという。詳しい事情はよくわからなかったが、自分が役に立つのならと講師を承諾した。
実際に普及員と一緒にそのFFSに参加してみると、メンバーには女性もたくさんいたし、農家の人たちが自分で運営しており、活気にあふれていて楽しくなった。時間がきて、ミンティアブさんは、家畜の飼料の簡単な調整方法や保存方法を教えた。FFSのメンバーの人達は、皆熱心で一緒になってそのやり方を学んでいた。普及員も覚えようと真剣そのものだった。実習の後は質問攻めにあった。

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西アルシ県アルシ・ネゲレ郡での技術研修実施の様子

ミンティアブさんは、自分の教えたことに対する農家の人達の熱狂的とも言える反応を間近に見て、大きな喜びを感じた。今まで多くの普及員たちに対して同じようなことを教えてきたが、郡の研修プログラムの多くは実習とかもやらないので、普及員はそのやり方をあまり分かってくれなかったように思う。もっと自分の技術を多くの農家の役に立ててもらいたいと思って10年近くもこの仕事をしてきたが、直接農家の人達の前で見せる機会は一度もなかった。ミンティアブさんにとって、自分の思いと技術を活かす機会が今までなかったとのだ。
FFSでは、毎週同じ曜日の決まった時間に決まった場所で学習セッションが行われる。そこはメンバーである農民にとって、行けば何かが得られる学習の場である。同時にそこは普及員や技術者にとっても、行けば自分の知識や経験から真剣に学ぼうとする農民たちが待っている場でもある。FFSは、今まで宝の持ち腐れ状態だった技術者や普及員の様々な知識や技術、経験を活発に共有・普及させていくための「場」を提供することができるのだ。ミンティアブさんのように自分の技術を持って人々に奉仕したいと思っている政府職員にとっては、またとない貢献の場がそこにある。
「次も何かあったら呼んでよね。」ミンティアブさんは、嬉しそうに今後も引き続きFFSの技術研修の講師してくれることを約束してくれた。