森林コーヒー活動の紹介

2017年5月29日

「エチオピアはコーヒーの原産地であり、元々コーヒーを飲む習慣がある数少ないコーヒー生産国のひとつです。」

このプロジェクトではエチオピアの森に自生するコーヒー(森林コーヒー)を活用して地域住民の参加による森林管理を支援しています。地域の住民に対して森から採れる森林コーヒーの品質向上、販売を支援する代わりに、森林の樹木を伐採しないという森林管理契約を結んで森林を適切に管理できるように支援しています。
2016年11月頃から始まった今年度(2016〜2017収穫期)のコーヒー活動は2017年5月現在、輸出に向けた加工の段階に入っています。
今回はこの森林コーヒーの採集から収穫、乾燥後の森林コーヒーの買取から一次加工までの工程を説明します。

森林コーヒーの採集時期は11月頃に始まります。
まず、各農家が森から採集してきたコーヒーの実(赤い実のため、レッドチェリーと呼ばれます)を乾燥します。
この時に完熟の赤い豆とそれ以外(緑の豆、過完熟豆等)を分けて乾燥する指導を行っています。これは、完熟の豆もそれ以外の豆も乾燥したドライチェリーの色では判断しづらくなるため、色で判別できるうちに完熟のものは高値で販売できる輸出用に、それ以外は国内マーケット用に分けるためです。
この部分についての詳しい説明はまた別の機会にします。

各農家で生産したドライチェリーの買取りが各地域の協同組合経由で2〜3月頃から開始されます。
今回は、ここから詳しく紹介します。

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各農家は周辺の町の市場に合わせて協同組合へ持ち込む。重さにより買い取られる。

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各農家は周辺の町の市場に合わせて協同組合へ持ち込む。重さにより買い取られる。

このプロジェクトのエチオピア側の実施機関であるオロミア森林野生生物公社(OFWE:オフェ)のコーヒー担当スタッフが各協同組合を回り、買い付けのためドライチェリーの品質チェックを行います。この時に品質の低いコーヒーは農家に戻されることもあるため、協同組合の人達の表情は一様に緊張しています。

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OFWEスタッフによる品質チェック。品質の低いものは農家に戻されることも。

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OFWEスタッフによる品質チェック。品質の低いものは農家に戻されることも。

品質が悪くて戻されたコーヒーは地域の市場へ持ち込まれ通常価格で売られるため、地域の市場の立つ曜日に協同組合も買取を実施しています。協同組合は通常価格よりもキログラムあたり数ブル(注)高い値段で買い取りを行っていて、良い品質の豆を集められるよう努めています。

各協同組合である程度まとまった量が集められると、それを一次加工場がある、近くの地方都市のジンマへトラックで運びます。

(注)ブル:エチオピアの通貨単位。1ブルは約5円)

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各協同組合から一次加工場(ジンマ)の倉庫へ運び込まれたドライチェリー。

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各協同組合から一次加工場(ジンマ)の倉庫へ運び込まれたドライチェリー。

一次加工場ではドライチェリーの果肉部分を脱穀してコーヒー豆の生豆(グリーンビーン)にしますが、必要に応じて一次加工の前に半日程度、天日干しを行います。

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一次加工前に半日程度ドライチェリーを天日乾燥する。

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一次加工前に半日程度ドライチェリーを天日乾燥する。

この地域では4〜5月頃から雨期に移行していくため、夕立のような雨が降る日が出始めます。各農家で乾燥させたドライチェリーの湿度が上がり保管中にカビが生える原因となることもあるため、一次加工の脱穀前にもう一度乾燥させる必要が出てきます。雨期前にこれを終えないといけないため、作業は時間との勝負となってきます。

この半日天日乾燥を終えたものから一次加工へ移行していきます。

まずは、機械で脱穀した後、女性たちによる手作業での不良豆、石・ゴミなどの除去作業(ハンドピッキング)が行われます。

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機械での脱穀

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機械での脱穀後の人の手による選別(ハンドピッキング)

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加工前(ドライチェリー)

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加工後(グリーンビーン)

この後、コーヒーの品質の検査を受けグレードが決められた後、首都に輸送しそこで二次加工と検査を受け、輸出されています。

今回は収穫、乾燥後の森林コーヒーの買取から一次加工までを紹介しました。次回はこの続きをご紹介していきます。

このプロジェクトの目標は、エチオピアの天然林を適切に管理してくことで、そのために森林に自生する森林コーヒーを活用しています。この地域の森林減少の大きな要因は、農地の拡大等であるため、森を守ることによって収入増加する仕組みを作り、地域農民よる持続的な森林管理を目指しています。