カイゼン・コンサルタント資格認証登録制度

2018年12月11日

“CARS”と聞くと車を連想しますが、エチオピアでは、別の意味の言葉として広まりつつあります。Certification, Accreditation and Registration Systemの頭文字を取り、カイゼン・コンサルタントの資格認証登録制度を意味します。この制度は、2017年5月にエチオピア・カイゼン機構(EKI)とJICAカイゼンプロジェクトチームにより考案されました。

CARSは単なるコンサルタント資格の登録制度ではなく、カイゼンを広く普及させるために4つの重要な目的を持っています。

1.クライアント(企業等)に対するカイゼン・サービスの品質を支えること=質の維持
2.カイゼン技術の向上に役立つこと=技術の向上
3.コンサルタントの育成と評価の基準となること=基準の提供
4.コンサルタントが自己啓発する際の進度の指標となること=自己啓発機能

つまりCARSは、カイゼン普及を図っていくための重要な仕組みの一つとなっています。そして、カイゼン技術の難易度に応じてレベルを分け、Kaizen Starter(KS)、Basic Consultant(BC)、Intermediate Consultant(IC)、Advanced Consultant(AC)、Principal Consultant(PC)の5段階を設定し、このうちBCからPCまでの4レベルが資格認証の対象となっています。日本の中小企業診断士は、コンサルタントになるための登竜門となっていますが、CARSは即実践を前提とした資格であるため、受験の条件として、実務経験が重視されています。

2018年10月から11月にかけて、BCとICを対象としたCARS第2回資格認証試験が実施されました。試験の内容は、主に筆記試験と口頭試験から成ります。EKIの職員のほか、地方のカイゼン機構や政府の産業技術研究所、民間企業関係者からも申込者があり、受験資格をクリアした合計53名が筆記試験を受験しました。その後、筆記試験合格者が口頭試験に進み、総合評価を経て、最終的にBC6名、IC4名が合格となりました。11月30日に行われた第5回プロジェクト合同調整委員会会合の場で、コンサルタント資格認定証がEKIを所管する首相府公務委員会のべザビ委員長および松永大介駐エチオピア日本大使より授与されました。

昨年実施された第1回資格認証試験では、BC8名、IC11名のコンサルタントが認証されており、第2回と合わせると、BC14名、IC15名、合計で29名が狭き門を見事にくぐり抜け、カイゼン・コンサルタントとして認証されています。

CARS第1回資格認証試験の受験者は、EKIと地方カイゼン機構のカイゼン政府機関のみでしたが、第2回では試験会場も地方の複数都市にまで拡大し、さらには民間企業から受験者があったことや、申込者数が第1回と比べて40%以上増加するなど、カイゼン普及がまさに広がっています。今後も、カイゼン普及が“CARS”によって加速されるとともに、同資格制度がエチオピアの国家資格制度として定着するよう仕組みの整備を継続していきます。

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筆記試験の様子

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口頭試験の様子

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第2回CARS認定証授与式(第5回プロジェクト合同調整委員会会合にて)