【Ethio-SHEP】フェカドさんの挑戦

2019年11月30日

フェカドさんは、エチオピアの典型的な小規模農家です。0.25haを所有し、雨季と乾季の両方で作物を育てています。主な農作物は、小麦、キャベツとじゃがいもです。彼は2017年にEthio-SHEPに参加し、園芸作物の栽培における大きな変化を経験しました。プロジェクトに参加する前は、彼は主に自家消費用のジャガイモを栽培していましたが、プロジェクトから得た気づきにより、収入向上として売るためにつくる園芸栽培に自信を持つようになりました。

彼は園芸栽培用の土地を徐々に広げて生産量を増やしていきました。2019年には0.75haのキャベツ用の土地を借り、7,000ETB(=586US$)の1期作分の借地料を払いました。また、ジャガイモ用の土地も従来のサイズの倍に変えました。次のシーズンには4haの土地を新たに借りることを検討しています。2017年には300kgの自家消費用のジャガイモのみの生産から、2018年には900kgの売るためのジャガイモを生産しました。2019年には、18,000kgのキャベツの生産に成功しました。キャベツの生産性も高く(14,400kg/ha)、キャベツの質も以前よりも良くなりました。以前はキャベツ1個の重さは0.5kg程度でしたが、今回のキャベツはサイズも大きく1.5kgあり、トレーダーにも魅力的な質のものとなりました。

フェカドさんは、「プロジェクトで学んだ栽培技術を適用することで生産量と質が向上した」と言います。プロジェクトで学んだ技術とは、苗床管理、種まきの仕方、肥料の適切なあげ方、作物カレンダーの作り方、苗の移植の仕方、水管理の方法(潅水灌漑から畝間灌漑へ変更)、大麦や小麦を使用した輪作の知識等のことです。また、市場で高値の時期に合わせて生産時期をずらして栽培することが高値で売れることにつながったと言います。

かつては、フェカドさんは少ない量を生産し近所の市場や小売りに売っていましたが、プロジェクト開催のマーケットリンケージフォーラムを通じて知り合った大学や協同組合の関係者を連絡をとりはじめ、売り先があることに気が付き、生産する量も増やしていきました。2019年には、フェカドさんはキャベツを共同組合を通じて近くの大学に卸すことができました。県の普及員は、「このようなマーケットリンケージは、フェカドさんだけでなくフェカドさんの住む県の農家にとってもひとつの大きな経験でした。」と言及しています。一連の出来事を見ていた周りの大多数の農家は励まされ、同様にキャベツの生産を始めた農家もいました。

フェカドさんはかつては自家消費用に小規模の園芸栽培をしていた農家でしたが、現在では多くのお金を投資して収入を稼ぐ農家となりました。また、彼は近所の人と相談して市場につながる道を整備したり、ジャガイモの保管倉庫を自家消費用や種芋の保管用に建設したりしました。さらには、多くの仕事のない人たちを季節労働者として、彼の農園で雇用しており雇用創出の観点からも貢献しています。今のフェカドさんは、園芸栽培に投資し農業で稼ぎ生活を向上させることに自信を持っています。

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フェカドさんのキャベツ畑

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フェカドさんとキャベツ畑

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県主催のField dayで近隣の農家がフェカドさんの畑を視察している様子