ベースライン調査が完了しました

2021年2月22日

2020年11月からケニアにおける橋梁維持管理の現状を把握するためのベースライン調査を実施してきました。その一環としてケニア高速道路公社(KeNHA)の管理する主要道路に架かる橋梁をはじめとする道路構造物を対象にその位置と状態を調べ、管理構造物の現状を把握することを目的とした現地調査を行いました。

現地調査においては、コロナ禍ということもあり、ICT技術を最大限に活用した方法で実施しました。現地で調達可能なスマートフォンを使用し、日本から橋梁データ収集システムのアプリケーションを提供、操作方法をオンライン会議システムを用いてケニアで実施するプロジェクトのスタッフやコンサルタントに指導しました。

調査手法を簡単に説明します。まずは、橋梁の名前や位置、長さや幅の基本条件等を現場で入力・計測し、スマートフォン上で橋梁台帳を作成します。次に、簡易な橋梁点検として、予め設定された点検項目について、質問形式で回答・チェックし、損傷がある場合は損傷写真を撮るという方法にて行いました。このように短時間で構造物の基本データを収集することにより、健全度の解析や地理的分布、典型的な損傷や課題の抽出などに利用する予定です。JICA専門家チームがケニアで活動できない中、約3ヵ月で1445橋(ボックスカルバート、パイプカルバートを含む)のインベントリーデータと各橋の損傷データを収集し、KeNHAが管理する主要幹線道路に架かる橋梁の現状を把握しました。

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データ収集システムトップ画面 ベースライン調査に用いた橋梁データ収集システム

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橋梁インベントリーシート(台帳)ベースライン調査に用いた橋梁データ収集システム

結果概要は、下記のとおりです。
・約87%の橋梁はコンクリート造である。
・約73%の橋梁は橋長15メートル以下の小規模橋梁であり、径間数は1~2径間が多い。
・適切な維持管理がされておらず、機能していない橋梁も多い。

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主要国道の橋種

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橋長分布

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構造物の寸法を計測している様子(ベースライン調査)

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損傷(堆砂で埋まっている)の撮影状況(ベースライン調査)