2018年8月のプロジェクトニュース

2018年9月11日

1.実務者協議と第2回合同調整委員会(Joint Coordinating Committee:JCC)を開催しました

2018年8月15日、JICA技術協力プロジェクト「ラオス 保健医療サービスの質改善プロジェクト(QHCプロジェクト)」の第2回JCCが首都ビエンチャンのドンチャン・パレスで開催されました。前日の14日に保健省内で行われた4県の担当者を中心とした実務者協議でのとりまとめ内容を踏まえ、5年間のプロジェクト前半の進捗を総括するとともに、「QHCモデル(プロジェクトが開発し南部4県で実施する、「病院の質基準」「質評価」「質の改善活動」の3つの柱で構成される循環的なサイクル)」の普及をプロジェクトの目標として後半の活動に取り組むことに合意しました。

QHCプロジェクトの村井真介チーフアドバイザーは、QHCモデルについて、現在、プロジェクトサイト(南部4県)で実践している事業をラオス政府が推進する政策の実務に反映させられるようパッケージ化するものとして紹介しました。その方向性を明確にするために、今回のJCCでプロジェクトの計画全体の見直しと改訂を提案し、委員会によって承認されました。

また、15日午後には、来年2月頃を予定している第2回ラオス保健医療の質改善フォーラムの準備委員会の第1回会合を保健省が開催し、フォーラムの実施時期、主題、参加者等について協議を行いました。

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QHCモデル概要図

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JCCにてQHCモデルについて説明する村井チーフ

2.チャンパサック県で母体死亡症例検討会を実施しました

チャンパサック県では2018年1月から7月の間に5件の母体死亡症例が発生したため、8月17日に県と郡、保健センターの関係者を集めた症例検討会を実施し、死亡原因の分析と対応策の検討を行いました。その中で、チャンパサック県において昨年実施した緊急産科ケア(Emergency Obstetric Care:EmOC)関連活動とその成果を振り返り、既に県病院と多くの郡病院で産科緊急症例に最低限必須とされる薬剤や機材が整ったことを確認した後、今後は母体死亡を減らすためにどういった質改善に取り組んでいくべきかについても討議を行いました。また今後は、改善活動の計画策定だけでなく、その実施状況をモニターするための活動にも力を入れていくことが決まりました。

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症例提示を行うチャンパサック県病院の医師

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症例提示後に行われた対応策の討議

3.外来受付と入院病棟の質基準評価トライアルを実施しました

チャンパサック県病院、セコン県病院、サラワン県病院で、プロジェクトで作成した質基準評価票(案)を使用したトライアル評価を実施し、評価票の検討を行いました。評価項目の内容の大幅な変更はありませんでしたが、評価方法の修正や文言の修正などの提案がありました。今回のトライアルでは、これまでQHCの活動に参加していなかったスタッフの参加も多く見られ、活発な意見交換が行われました。

今後、アタプー県でも同様のトライアルを実施し、評価票を実用化していく予定です。

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現状を写真に撮って評価(チャンパサック県病院)。

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外来サービス提供の様子を遠目から観察評価(チャンパサック県病院)。

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看護師の基礎技術を評価(セコン県病院)

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カルテ内容の評価方法について議論が白熱(セコン県病院)。

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入院中のサービス提供の現状を患者さんにインタビューして評価(サラワン県病院)。

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評価方法や文言の修正点について担当者で協議(サラワン県病院)。

4.胎児心拍陣痛図勉強会を継続しています

プロジェクト専門家と県病院産婦人科医師が合同で研修教材を作成し、県病院産婦人科医師が講師となれるよう配慮した講義と実習形式で行われている胎児心拍陣痛図勉強会ですが、8月は、セコン県病院(8月23日:第2回)とサラワン県病院(8月21日、22日:第1回目)で実施しました。

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サラワン県病院、サラワン県の3つの郡病院、トレーニングセンターからの参加者

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講義後の確認テストに取り組む参加者

5.第1回目の超音波検査トレーニングを実施しました

サラワン県病院(8月21日、22日)とセコン県病院(8月23日)で第1回目の超音波検査トレーニングを実施しました。ラオスで働く医療従事者は、新しい知識・技術を得る機会が非常に少なく、超音波の操作の仕方、手術の際の縫合の仕方をインターネットのページやYouTubeから学んだといった声も多く聞かれるのが現状です。

今回は講義形式でのイントロダクションを行い、次回からは講義と実技(実際の患者診療の中で超音波検査の指導を行う)を組み合わせて研修を実施していく予定で、サラワン県では、県病院医師、郡病院医師・助産師等合計14名が参加。セコン県では県病院の産婦人科病棟と母子保健課の医師合計5名が参加。ほとんどの参加者は、ほぼ超音波の使用経験がないため、基礎的な内容からはじめることになります。

6.First Meeting of National Network on Securing Systems for Quality and Safety in Lao PDRへの参加

世界保健機関の西太平洋地域事務所(WHO WPRO)とラオス事務所(WHO Laos)、ラオス保健省DHRとの共催による第1回の「Meeting of National Network on Securing systems for Quality and Safety in Lao PDR」がビエンチャンで開催され、QHCプロジェクトからはチーフアドバイザーが参加しました。

本会議では、医療の質と安全に関するラオスの取り組み事例として、保健省からQHCプロジェクトの活動が紹介されました。特にプロジェクトサイトの一つであるアタプー県病院の質改善の具体的事例紹介に参加者の関心が集まりました。本ネットワークには、プロジェクトとしても積極的に参画していきたいと考えています。