2019年1月のプロジェクトニュース

2019年3月5日

1.第2回ラオス保健医療サービスの質改善フォーラムの準備

第2回ラオス保健医療サービスの質改善フォーラムは、2019年2月13日から15日の日程で開催されることが最終決定しました。初日はルアンパバン県病院の見学と第4回ベトナムフォーラムの視察報告会が行われます。2日目と3日目は、病院の質改善活動の発表とパネルディスカッション、保健省による話題提供が行われます。この準備のため、第4回目となるラオ・フォーラム運営委員会を1月15日に開催し、その後、1月16日から17日にかけて、プロジェクトの専門家がルアンパバン県保健局と県病院を訪問し、ルアンパバンの関係者と準備の詳細を協議しました。

病院の質改善活動の発表は計16演題の投稿がありました。これら演題の抄録は抄録集として当日配布します。現在、査読委員が抄録を査読して更なる改善を促し、発表者は抄録の修正と発表資料を作成しているところです。

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第4回ラオ・フォーラム運営委員会(保健省会議室)

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ラオ・フォーラムについてルアンパバン県関係者に説明する村井チーフ(ルアンパバン県病院)

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ルアンパバン県病院の発表内容を現場で協議(ルアンパバン県病院外来棟)

2.継続的質改善活動について

南部4県では、病院の質基準に基づく自己評価と他者評価の結果を踏まえて、プロジェクトチームによるコンサルテーションも参考にしながら、以下の質改善活動に取り組んでいます。

1)臨床サービス

・各県病院は、2018年に実施した質改善活動をまとめ、第2回フォーラムで発表する準備を行っています。プロジェクト専門家は、発表者の要望に応じて、活動内容が分かり易く共有されるよう発表資料に助言をしています。

・アタプー県病院の産婦人科病棟は、正常分娩の病院の質基準の自己評価の実施頻度を従来の3か月から毎月にするというトライアルをはじめました。従来の3ヶ月に1回の自己評価の頻度では質改善活動の進捗が遅いと感じ、より迅速に質改善活動を実施するためのアイデアです。このトライアルの成果もラオフォーラムでも発表され、自己評価の実施頻度について議論される予定です。

2)病院サービス

・チャンパサック県病院は、外来で検査結果が得られる時間を患者さんに知らせるカードを配布し始めました。入院病棟ではインフォームドコンセントフォームの回収を徹底する取り組みを実施しています。介入によってスタッフが問題意識を持っただけで、現在はほぼ100%の回収率になっています。病院の質基準の改訂会議の際に、新たにインフォームドコンセントの評価項目が加わったことで、スタッフの意識が高まったことが改善の一要因と考えられます。

・セコン県病院は、カルテへの記載徹底のための監査を看護部が試験的に各病棟で運用しはじめました。看護部では現在この監査の試験運用の結果を整理しています。今後は、監査方法の見直しや結果を現場にフィードバックする活動を看護師長が実施する予定です。また、標準遵守のためのモニタリングには他病棟のスタッフが相互に監査を実施するクロスチェック方式を導入したいと検討しています。

・アタプー県病院は、外来患者用の新モニタリングハンドブックを試験的に導入しました。入院病棟では、この1月にベトナムの第4回病院の質・患者安全フォーラムで見学したベトナムの病院で得た知見を活かし、各ベッドに経口薬を入れるバスケットを設置する方法を取り入れはじめました。日々の内服については冊子を作成し、看護師が毎回チェックするようにしています。これはシフト交代の申し送りにも役立っています。

・サラワン県病院では、外来にて、窓口担当者に患者分類リストを配布する準備をしています。その効果と課題を評価し、実践を通じてより使いやすい患者分類リストにしていきます。

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チャンパサック県病院の外来で使用中の検査結果時間確認票

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患者さんは確認票に記載されている時間に合わせて外来へ

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アタプー県病院では各ベッドに内服薬を入れるかごを設置

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アタプー県病院の大きくなった患者モニタリングハンドブック

3.ベトナム「第4回病院の質管理・患者安全フォーラム」に参加

ベトナム「第4回病院の質管理・患者安全フォーラム」が1月9日から11日までハノイで開催されました。このフォーラムには、プロジェクトの対象南部4県の看護部を中心としたプロジェクト関係者12人が参加しました。同フォーラムで議論されたインシデントレポートや患者満足度調査、院内連携強化などはラオスでも関心が高いテーマであり、参加者は隣国ベトナムの実践例を多く知ることができました。また、このフォーラムではベトナムの病院を視察したり、ラオスの病院の質改善活動を発表する機会を得たりと、ラオスとベトナムの医療関係者同士の意見交換も行うことができました。

【画像】ベトナムフォーラムの参加者

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真剣な様子でフォーラムに参加

4.JICA課題別研修へのカウンターパートの参加

JICAの実施する課題別研修に当プロジェクトのカウンターパート2名が参加中です。

ラオス保健省ヘルスケア・リハビリテーション局で当プロジェクトを担当するニノン・サイナボンさんが、「保健衛生政策向上-日本の経験・歴史・成果と課題の共有」(2019年1月20日~2月2日)を受講しています。また、サラワン県病院の質委員会のメンバーであるコン・サヤシン氏さんが「病院経営」(2019年1月20日~2月26日)を受講しています。いずれも当プロジェクトの活動に熱心に取り組んでおり、ラオスの医療の質・安全分野での今後の活躍が期待されます。