2019年9月のプロジェクトニュース

2019年10月1日

1.パクセ市を含む南部4県が洪水被害を受けました。

2019年9月上旬、降り続く雨、メコン河の増水、近隣ダムの緊急放水などもあり、プロジェクトオフィスのあるチャンパサック県パクセ市を含む南部4県の広範な範囲で洪水が発生しました。9月4日夕刻にはパクセ市街も冠水。プロジェクトオフィスも約1メートルに及ぶ浸水被害を蒙りました。

パクセ市の中心部は9月9日には水が引きましたが、洪水は一部プロジェクト対象の病院も含む南部4県に大きな被害をもたらしました。プロジェクトでは洪水被害によって遅れの生じた活動の再調整とともに、被害を受けた郡病院の復旧支援に向けた準備をしています。

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溢れるメコン河

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チャンパサック県病院前の道路

2.病院認証質基準作成の短期専門家を迎えました。

ラオス政府が進めるドク・チャンパ病院認証に用いる質標準には保健省が承認した案だけでも複数あり、DHRからQHCプロジェクトへそれらを統合化する作業への支援要請がありました。要請を受け、プロジェクトでは9月18日(水)から26日(木)までビエンチャンに短期専門家(病院認証質基準作成)を投入し、病院認証標準のうち、病院サービスである5 Goods 1 Satisfactionの中の3 Goods(Good reception, Good cleanness, Good convenience)に相当する部分の標準の作成支援とQHCモデルの説明資料(概要)の作成を行いました。

3.情報マネジメント/組織開発の短期専門家を迎えました。

南部4県病院と県保健局を中心とした病院のクオリティ・マネジメントの意志決定にかかる情報マネジメントの支援を行うべく、2回に分けて情報マネジメント/組織開発の短期専門家を投入することに成り、9月23日、短期専門家(情報マネジメント/組織開発)が10月11日までの予定でパクセに着任しました。パクセ洪水被害の影響もあり1回目の派遣は当初の予定よりも1週間短い10月11日(金)まで。活動内容を調整し、11月下旬の2回目の派遣期間を長く取る予定です。

現状では「病院の質管理の質基準と評価票」のパイロット評価結果から、各県病院の各科は質改善活動そのものをどのような手順に沿って行うべきか、そしてそれをどうモニタリングするべきかの理解が不十分であることが分かり、プロジェクトは情報マネジメントの観点から短期専門家と共同して4県のマネジメントシステム構築を支援していきます。

4.病院の質基準の評価体制

南部4県病院は、第7回定期自己評価の準備と実施を開始。セコン県病院は8月、チャンパサック県病院は9月に評価を実施しました。サラワン県病院は10月に評価を実施する予定です。アタプー県病院は予定の調整中。また今回の自己評価で、セコン県病院が「病院質管理と患者安全の質基準」の使用を開始しました。

一方、8月に南部3県(サラワン、セコン、アタプー)では、QHCモデル定着強化のために県の質委員会による郡病院での病院質基準を用いた評価が実施されました。そして現在、この訪問指導内容をプレゼンテーションの形式で一般化しており、今後この資料を活用してQHCモデルを郡へ展開するためのガイドラインを作成する予定です。また10月にはチャンパサック県でも同様の活動を予定しており、9月30日にチャンパサック県のチームとともに訪問前の準備会議を行いました。本資料は、他県にQHCモデルを展開する方法をまとめるガイドラインにも含まれる予定です。

5.継続的質改善活動

チャンパサック県病院の看護部1名、新生児集中治療室(NICU)の看護師2名と青年海外協力隊員がカムワン県病院の新生児集中治療室(NICU)を訪問、5Sのテクニック、デベロップメンタルケア、新生児蘇生法と急変時対応の訓練を学びました。研修終了後、チャンパサック県病院の新生児集中治療室(NICU)では詰所の物品にラベリングする5S活動を実施しています。

また、同病院では内科IとIIIで危険予知トレーニング(KYT)を実施した結果、注射薬の整理整頓がはじまりました。また、針のリキャップが課題に挙がり、看護部で針の破棄方法について検討しています。看護部がリキャップ行為を見た際には口頭で注意を促しているものの、危険予知トレーニング(KYT)では具体的な対策までは導き出せなかったので、針の廃棄方法をどのように周知徹底するか検討中です。

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5S実施前の収納棚

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5S実施後の収納棚