2020年1月のプロジェクトニュース

2020年2月4日

1.本邦研修を実施しました。

2020年1月18日から30日まで、ナショナル・クオリティ・マネジメント・システム(病院認証と病院における質改善を含む)をテーマとした本邦研修を実施し、保健省DHRから4名、南部4県の県保健局と県病院から1名ずつの計12名の研修生が参加しました。プロジェクトからはチーフアドバイザーが同行し、本邦における質管理の取り組みをラオスの実情を踏まえて理解できるよう参加者をサポートしました。研修を通じて、参加者はQHCモデルの効果的な運用に向けて、リーダーシップとチームワークの強化、形骸化している5S活動の活性化が喫緊の課題であることを認識し、その取り組みについての具体案がアクションプランにも反映されています。プロジェクトでは、今後の活動をフォローアップしていきます。

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2.第8回の自己評価が行われました。

プロジェクト対象の南部4県のうち、3県病院で、第8回自己評価が実施されました。チャンパサック県病院とセコン県病院は12月、サラワン県病院は2020年1月に実施済み、アタプー県病院は3月に実施予定となっています。自己評価直後の質改善委員会定例会議で、自己評価結果のフィードバック、優先改善テーマの抽出と今後取り組むべき改善活動が決定されおり、3県病院は現在、その改善活動に取り組んでいるところです。

チャンパサック入院病棟における第8回自己評価実施の様子

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チャンパサック県病院の入院病棟にて、質委員会が評価者にOJTで指導しながら評価を実施している様子。

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質基準の写真によるアセスメントがある項目の判断に使用する写真を撮影するスタッフ

3.4県病院で行われている質改善活動

チャンパサック県病院:
・質改善委員会が質管理と感染予防管理(IPC)と危険予知トレーニング(KYT)の3つの活動の業務規定を作成中。本邦研修にて、危険予知トレーニング(KYT)と5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)の役割の違いを理解し、リーダーの役割とチームワークについて学んだことで、安全な環境づくりのための5S-KYTの更なる促進を計画しています。
・5Sのために物品を購入し、救急診療部(ER)、集中治療室(ICU)と人事部、感染病棟で5Sを実施しました。耳鼻咽喉科や眼科は自主的に5Sに取り組んでいます。また、外科病棟では危険予知トレーニング(KYT)で発見したリスクへの対策として、酸素ボンベを固定するチェーンを購入し設置しました。病院全体で第1回危険予知トレーニング(KYT)事例報告会を開催しました。
・月曜日と火曜日の午前中に外来(OPD)で12誘導心電図(ECG)の実地訓練(OJT)を定期的に実施しています。また毎週水曜日の午後に一次救命処置(BLS)の訓練を開始しました。救急診療部(ER)、集中治療室(ICU)、心臓血管疾患集中治療室(CCU)、内科の4科の看護師99名を対象に3月まで継続して実施する予定です。

サラワン県病院:
・質改善委員会は看護師の役割と組織の強化、環境整備のための5Sと危険予知トレーニング(KYT)を計画中です。
・産婦人科では「カンガルーマザーケアの導入」に取り組んでおり、その内容は第3回ラオス保健医療サービスの質改善フォーラム(2/11-13)でも報告される予定です。

セコン県病院:
・質改善委員会が人事評価規定を第2版に改訂しました。この改訂は人事評価が学歴のみでなく能力と実績に基づいてなされ、公正かつ適切なインセンティブにつながることを目的としています。改訂の結果、スタッフの勤務態度の改善と質改善活動への関心が高まってきています。
・アタプー県病院の視察で学んだことを活かし、清掃員の組織体制、業務規定の改訂と外来の診療記録の作成について改善に取り組みました。

アタプー県病院:
・質改善委員会は、ビエンチャン県病院を視察後に、清掃員の組織体制と業務改訂、基本的な物品購入について提案書をとりまとめ病院理事会へ提出しました。
・産婦人科と小児科が協力して新生児蘇生ケアの質改善に取り組むため、新生児蘇生ケアの質基準と評価票のドラフトを作成しました。今後はパイロット評価を経て質基準を最終化し、3月に予定されている第8回自己評価から導入する予定です。

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アッタプー県病院で産婦人科病棟と小児科病棟のスタッフが協力して作成した新生児蘇生の病院質基準

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病院質基準をエクセルデータに打ち込む作業を行う病院スタッフ

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チャンパサック県病院で毎週水曜日の午後に行われている一次救命処置(BLS)訓練

4.QHCモデルガイドラインの執筆・編集会議を開催しました。

12月20日に引き続き、QHCモデルガイドラインの執筆・編集会議を1月16日と31日にビエンチャン特別市で開催しました。保健省DHR、熱帯公衆衛生研究所(TPHI)、マホソット病院、ビエンチャン県病院、南部4県の県保健局と県病院のスタッフが集まり、各病院の質改善委員会のTORや組織図を一般化しながら、ガイドラインのドラフトに反映させていきました。次回の会議開催は2月5日を予定しています。