2020年3月のプロジェクトニュース

2020年4月1日

1.4県合同会議と病院の質基準改訂会議を開催しました

3月4日から2日間の合同会議に、プロジェクト対象の南部4県関係者がアタプー県に集まり、進捗報告と年次改善計画(病院の質基準)の更新と作成を行いました。会議には南部4県病院と4県保健局のほか、各県から2つの郡の郡病院と郡保健局の計8施設からも代表者が参加しました。

各施設で導入を進めるQHCモデルの活動の進捗を報告するとともに、これまで使用してきた県病院と郡病院の質基準を改訂しました。

県病院では、トイレ、外来病棟、入院病棟、正常分娩ケア、緊急産科ケアと病院の質管理の基準を改訂しました。実践経験から「内容を分かり易くする」、「項目をより到達しやすくグレード分けする」、「既に到達した項目を難易度の低いグレードへ移動する」、「より難易度の高い項目を新たに追加する」といった視点で改訂がなされました。

郡病院では、トイレ、外来受付、正常分娩のケアの質基準を改訂しました。緊急産科症例のケアの質基準は取り組める郡病院だけが対象です。また、質管理体制を改善すべく「病院の質管理」の質基準を新たに作成しました。

4県病院は、患者満足度調査の試験調査を2019年11月と12月に実施しました。その結果を受けて、調査手順の簡便化を進めるために、外来と入院病棟の患者経験の項目と患者満足度の項目を統合し、外来と入院病棟の2つの患者経験・満足度調査の調査票を作成しました。以後、この調査票を用いて患者経験・満足度を評価していきます。

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合同会議の様子

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グループに分かれて質基準の改訂に取り組みました

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グループに分かれて質基準の改訂に取り組みました

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グループに分かれて質基準の改訂に取り組みました

2.4県病院で行われている質改善活動

チャンパサック県病院:
・透析室ではカルテの整理整頓とゴミの分別、書類や薬剤の整理を行いました。内科II(HIV)はカルテと書類の整理整頓、内科IIIと外科では全体的な整理に取り組みました。
・緊急ケアの症例の取り扱いについて、県病院と郡病院との間で遠隔相談システムの構築に着手していて、郡病院で発生した緊急症例に関する情報(患者への対応や搬送のタイミング等)を、テレビ電話等で県病院のスタッフへ相談する方法を試験しているところです。

サラワン県病院:
・外来サービスのプロセスマップを改訂しました。
・独自質基準「カンガルーマザーケア」の評価結果を受け、継続して質改善活動に取り組んでいます。

セコン県病院:
・産婦人科と母子保健科が協働して1月末にハイリスク妊婦健診外来を設置しました。現在はハイリスク妊婦のスクリーニング、診断、治療の質を向上するために、定期的に院内トレーニングを実施する計画を立案し、第1回目のトレーニングを3月に実施したところです。これに合わせて、定期的に院内研修システムを見直し、より効果的に活用するための活動も始まりました。3月5日にはセコン県病院の産婦人科医師とセコン県病院で活動するフランスのNGOであるSFEの助産師が講師となり分娩誘発について第1回の院内研修が実施されました。院内研修の内容については、当プロジェクトからも技術支援を行っており、今後の研修に関しても引き続きアドバイス等を行っていく予定です。

アタプー県病院
・2月に実施した新生児蘇生ケアの質基準のパイロット評価の結果を受けて、継続して質改善活動に取り組んでいます。

また、各県病院は、新型コロナウイルス対策に関して、PPE(個人防護具)の着脱、看護師の内科IV(新型コロナウイルス専用病棟)での日常業務、運転手、清掃員の業務に関する標準手順書(SOP)の作成、国の指示に基づく院内研修の実施、各県内の郡病院、保健センタースタッフに対する研修実施などに取り組んでいます。

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透析室のカルテの整理整頓

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透析室のカルテの整理整頓

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内科IIのカルテの整理整頓

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PPE着脱の練習

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PPE着脱の練習

3.プロジェクト専門家の避難一時帰国

COVID-19(新型コロナウイルス)の世界的な流行、ラオスにおける発生状況と想定されるリスク、当地の医療事情、更に国外への移動が困難である状況等を踏まえ、JICAはラオス赴任中の専門家及び企画調査員全員に対して避難一時帰国の指示を出しました。当プロジェクトもラオス人プロジェクトスタッフを自宅勤務とし、全専門家は4月6日までに本邦に一時帰国しています。プロジェクト実施機関である保健省治療・リハビリテーション局、南部4県の医療関係者もその対策と対応に追われ多忙を極めている状況ですが、インターネットを通じたテレビ会議などを活用し、データの整理、マニュアルやガイドラインの執筆、作成など自宅勤務、遠隔でもできる作業に取り組んでいます。COVID-19の流行が一日も早く収束し、また現地にて活動を再開できる日に備えて万全の準備を整えておきたいと考えています。