2020年5月のプロジェクトニュース

2020年6月1日

1.南部4県のQHCモデルのルーチン業務が再開

5月のラオス政府の規制緩和を受けて、南部4県にプロジェクトが導入したQHCモデルのルーチン業務が県保健局、県病院、郡病院で再開されたことが確認できました。プロジェクトでは、日本人専門家がラオスへ帰任した際の活動計画を見直し、特にプロジェクト終了に向けた活動でリモートワークでも実施できる各種ガイドラインの執筆活動、QHCモデルのルーチン業務と成果物のフォローアップ、看護委員会が病院の質改善委員会に関わる意義の整理について、リモートワークで業務を進めています。

2.インターネットを活用したプロジェクトの活動推進について

避難一時帰国中の専門家と現地のコミュニケーションは主としてWeb会議システムを利用しています。しかし、プロジェクト対象である南部4県では接続が安定しないことも多いため、ラオス人スタッフは回線電話、携帯電話、SNSなどを併用し臨機応変に対応しながら会議、調整、情報収集を進めています。

【画像】セコン県病院とのWeb会議の様子。プロジェクトスタッフは適宜、電話を併用。

3.県病院、郡病院の自己評価と他者評価について

県病院の自己評価は、セコン県病院は4月、チャンパサック県病院とサラワン県病院は5月に実施し、現在各病院が結果をまとめているところです。アッタプー県病院は6月に自己評価を実施する予定で、その準備を5月中の質改善委員会の定例会議で行っています。
一方、他者評価は、5月中に南部4県とのウェブ会議を複数回実施し、県病院の他者評価とその標準手順書の作成について協議しました。県病院に対する他者評価の候補として、保健省による他者評価、県保健局による他者評価、他県病院が病院の評価を実施するクロス評価といった3つの方法が挙げられた中で、持続可能な方法として県保健局による評価を望む意見が多く出てきました。今年度の県病院の他者評価をどのようなかたちで実施するか、保健省とも引き続き協議を続けていきます。
プロジェクトの対象である南部4県の11郡病院は、いずれもCOVID-19の対応により一時中断していた自己評価を再開すべく準備を始めています。これまで一部の対象郡病院は毎月、自己評価を実施してきていますが、チャンパサック県内の郡病院は、実践経験から改善活動の時間をより確保すべきとの意見があり、県保健局の合意を得て自己評価の頻度を四半期ごとに変更するという実務経験に根ざした業務改善を行っています。

参考データ(2020年5月29日現在):
・各県保健局によって、プロジェクト対象11郡病院に対して他者評価および自己評価が2018年から段階的に導入されています。
・県保健局が他者評価を少なくとも年1回実施できたのは2018年が10郡病院、2019年は対象11郡病院の全てに実施。2020年はまだ実施されていません。
・2019年に年3回の自己評価を実施したのは、サラワン県の3郡病院全てとセコン県のタテン郡病院でした。2020年はダクチュン郡病院を除く10郡病院で自己評価を既に少なくとも1回実施しています。

4.質改善モデルの文書化について

(1)QHCモデルガイドライン

執筆編集会議を、5月8日に保健省と5月15日に南部4県、ビエンチャン県病院と熱帯公衆衛生研究所(TPIH)と開催しました。今後開催する執筆編集会議では、ラオス語の表現を確認・修正していく予定です。

(2)ケースレポート

南部4県による原稿執筆は、5月最終週の時点で第3回目の原稿提出が完了しました。ケースレポートの執筆は主に質改善委員会のメンバーが担ってきました。各病棟での改善の成果や県保健局の支援部分をより加筆するため、これらの職員を巻き込んだ執筆・編集会議を計画しています。

(3)郡病院への展開ガイド

県保健局と県病院が対象11郡病院へQHCモデルを展開し、その後実施したフォローアップ活動の手順を踏まえて、「QHCモデルの郡病院への展開ガイド」を執筆しています。