2020年6月のプロジェクトニュース

2020年7月1日

1.南部4県のQHCモデルのルーチン業務の継続と評価活動

5月の規制緩和後もCOVID-19の新規患者数ゼロを継続しているラオスですが、新規患者の報告が今までなかったプロジェクトの対象南部4県では徐々に日常が戻り始めています。

県病院と郡病院の自己評価と患者経験・満足度調査

4県の県病院は、新しい病院の質基準(3月5日改訂版)を用いて自己評価を始めています。郡病院でも、改訂版の質基準と共に新たに作成した病院の質管理の質基準を使用しはじめるよう、県保健局が監督指導し、QHC/JICAが助言を行っています。
患者経験・満足度調査は、直接介入が行えない中で標準化を進めており、4県病院は調査・分析の手順書(案)を試作し、使用しました。専門家は遠隔から支援しています。今後は、4県病院の担当者のコメントを得ながら手順書(案)使用感を確認し、適宜改訂してきます。

県病院の自己評価は、セコン県病院は4月、チャンパサック県病院とサラワン県病院は5月、アッタプー県病院は6月に実施し、現在、結果をまとめているところです。患者経験・満足度調査は、チャンパサック県病院とサラワン県病院は5月、セコン県病院は6月に実施し、結果をまとめています。アッタプー県病院は6月中に実施を予定していましたが延期になりました。
対象11郡病院はCOVID-19の対応により一時中断していた自己評価を5月以降再開して、唯一未実施だったダクチュン郡病院(セコン県)も県保健局とともに実施に向けた準備をしているところです。

県病院と郡病院の他者評価

他者評価についてはプロジェクトの主管である保健省DHRと共に県病院に対する他者評価の実施方法について協議を行い、1)保健省による他者評価、2)県保健局による他者評価、3)他県病院が病院の評価を実施するクロス評価の可能性を検討し、2020年度は持続可能な方法として2)県保健局による他者評価を行うことになりました。実施時期については引き続き各県と調整します。

郡病院の他者評価についても、各県保健局はそれぞれの対象郡病院を訪問し、自己評価結果の取りまとめとともに他者評価の実施に向けた指導と協議をしていく予定です。

2.サラワン県の実践経験共有機会

サラワン県保健局は6月5日、郡病院・郡保健局と県病院の関係者を招いた県内の実践経験共有会議を開催し、各病院の質改善活動の進捗や今後の計画発表、本邦研修受講生による学びの共有などを行いました。これまで、QHCプロジェクトでは、過去3回のラオス保健医療サービスの質改善フォーラムによって中央から実践経験共有機会を促してきましたが、今回初めて県内で実践経験共有のための会議が招集された意義は大きく、他県への波及を促していきたいと考えています。

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県と郡からの参加者

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会議の様子

3.質改善モデルの文書化について

(1)QHCモデルガイドライン

6月9日より週2回(火曜と金曜)の執筆・編集会議を各2時間程度開催し、ガイドラインの内容とラオス語の表現を一つ一つ確認し、修正しています。リモート会議のため、参加者全員の表情が見えず、参加者の同意を得るのに時間がかかるといった制約等もあり、進捗に若干、遅れがみられるものの、当初予定していた6月23日以降も継続して会議を開催し、7月23日(木)には、プロジェクト・ダイレクターである保健省DHR局長にQHCモデルガイドラインの全容を報告する予定です。

(2)ケースレポート

南部4県から第4回目の修正原稿が提出され始め、サラワン県のケースレポートは英文翻訳が完了しました。他県についても順次、提出、翻訳の上、内容の検討する予定です。

(3)郡病院への展開ガイド

各県のこれまでの実践を元にした「QHCモデルの郡病院への展開ガイド」の取りまとめ中です。