2020年8月のプロジェクトニュース

2020年9月1日

1.南部4県のQHCモデルのルーチン業務の継続と評価活動

郡病院の自己評価と患者経験・満足度調査

対象11郡病院中、唯一自己評価ができていなかったダクチュン郡病院が7月末に自己評価を実施しました。自己評価からグレード付け、優先改善テーマの選出、アクションプランの作成までの一連の工程に改善の余地があるため、セコン県保健局の担当者とともにプロジェクトスタッフが指導と助言のために出張する計画を立てました。また、これまで各県の担当者と協議・執筆を続けてきた郡病院の自己評価の一般的な標準作業手順(SOP)が完成しました。このSOPはQHCモデルガイドラインに掲載することになっています。

郡病院の他者評価

アッタプー県の質委員会は8月11日と12日に対象2郡病院で他者評価を行いました。同県は、6月と7月に対象外の2郡病院にもQHCモデルの導入を実施しており、今月から対象外の2郡病院でも定期的な自己評価が開始される予定です。これでアッタプー県ではプロジェクトの当初の目標を超え、全ての郡病院でQHCモデルが導入されることになりました。
サラワン県保健局は、8月24日から27日に対象3郡病院に対して他者評価を実施しています。また、南部4県の県保健局では、それぞれ他者評価の手順を標準作業手順(SOP)としてまとめ終えました。
なお、南部4県病院の第10回自己評価と2020年度の他者評価は9月から順次実施する計画で調整が進んでいます。

・QHCプロジェクトの対象であるラオス南部4県では、各県保健局によってターゲットである11郡病院に対して他者評価および自己評価が2018年から段階的に導入されてきました(PDMでは自己評価を少なくとも年3回実施し、他者評価を少なくとも年1回実施することを指標としています)。
以下の表は2018年から2020年にかけてそれぞれの年で実施された郡病院の自己評価と他者評価の回数を示していて、太字はPDMの目標を達成したものを表しています。

Province Target DHs 2018 2019 2020
External External Self External Self
Champasak Paksong 1 2 0 0 2
Khong 1 2 0 0 2
Moonlapamok 1 2 0 0 3
Champasak 1 2 0 0 4
Salavan Kongxedone 1 1 3 0 2
Vapi 1 1 3 0 2
Samuay 1 1 3 0 2
Sekong Thateng 1 1 3 1 6
DakCheung 1 1 0 1 1
Attapeu Phouvong 2 3 2 0 4
Saysettha 0 3 0 0 4

各県の日常管理と継続的質改善活動

8月も各県病院は、以下の通り、第9回自己評価の結果から抽出した改善課題に取り組んでいるところです。

・サラワン県病院ではカンガルーマザーケア(KMC)の質改善に引き続き取り組んでいて、サービスの成果を測定するための患者インタビューを準備中。
・セコン県病院では、正常分娩後のケアの改善や、帝王切開術後の経腟分娩トライアルに取り組んでいます。また、帝王切開術後の経腟分娩トライアルの安全性や成果を測定するために、診療録を使用した臨床研究も開始されました。
・アッタプー県病院では、以前に作成した独自病院質基準を活用しながら新生児蘇生の質改善に引き続き取り組んでいます。
・チャンパサック県病院の産婦人科病棟では、質改善の責任者が来月から国外へ留学することが決まったため、引き続きQHCモデルを実施すべく、別の責任者の任命と引継ぎなどが行われています。
・チャンパサック県保健局は、県内の医療施設の質改善を目指した実態調査を計画しており、現在患者インタビューの質問票を作成しているところです。
・チャンパサック県保健局は県病院の協力を得て、8月24日から28日の期間に全10郡病院(プロジェクト・ターゲットの4郡病院とそれ以外の6郡病院)を対象に、QHCモデルの紹介のほか、質基準の説明と本邦研修の経験共有としてリーダーシップ研修、ポジティブシンキング研修を行いました。

【画像】

チャンパサック県保健局が実施した研修の様子

【画像】参加者の集合写真(各郡には第3回ラオ・フォーラムの事後抄録集も配布されました)

2.実践経験共有機会(第4回ラオ・フォーラムの開催に向けて)

2020年度ラオ・フォーラムの最初の準備会議が8月14日にビエンチャンで行われ、第4回ラオ・フォーラムは2021年の1月に首都ビエンチャンで開催されることが仮決定しました。また、準備・運営にあたる組織編成について協議され、運営委員会、事務局の他、2日間に渡るラオ・フォーラムそのものの運営管理を担うラオ・フォーラムチーム、実践発表の公募や選定、資料作りを担当するコンテンツチーム、病院視察の実施を取り仕切る病院ツアーチームが今後、メンバーの正式決定を経て具体的な作業に入ることになりました。

3.専門家の帰任

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行、ラオスにおける発生状況と想定されるリスク、当地の医療事情、更に国外への移動が困難である状況を踏まえてラオスに派遣されている全専門家が本邦一時帰国となって以降、QHCプロジェクトは遠隔での業務に取り組んできました。
このたび、ラオスの状況改善、8月下旬に行われた日本・ラオス外相会談での「双方向の長期滞在者の往来に関する合意」などを踏まえ、QHCプロジェクトの専門家も9月中旬から順次、ラオスに帰任することになり、現在、9月以降の活動計画再編について関係者との協議をはじめました。