2020年10月のプロジェクトニュース

2020年11月1日

1. 南部4県の質改善モデル(QHCモデル)のルーチン業務の継続と評価活動

対象県・郡病院の自己評価と患者満足度調査、他者評価の実施状況

4県病院について、年3回の実施を目標としている自己評価はチャンパサック県病院、セコン県病院、サラワン県病院が第10回自己評価(2020年度2回目)を終了。アッタプー県病院は11月初旬に実施予定。各県とも2020年度内に第11回自己評価(2020年度3回目)まで完了する予定です。患者経験・満足度調査は、セコン県病院は年3回の調査という目標を達成しました。チャンパサック県病院、セコン県病院、アッタプー県病院は年度内にあと1回、調査を行う必要があります。2020年度、県保健局による他者評価は、サラワン県とアタプー県で実施済み、セコン県とチャンパサック県は職員の異動に伴い県保健局の質改善委員会メンバーの再編成があり、10月に予定していた他者評価が延期となりました。セコン県は11月実施予定、チャンパサック県は調整中です。

対象11郡病院の実施状況は以下の表の通り。すでにすべての郡病院が年1回の他者評価実施という目標を達成しました。年3回の自己評価実施という目標については、8郡病院が達成済み、残り3郡病院は2020年度3回目の自己評価実施に向けて現在、調整中です。

対象郡 2018 2019 2020
他者評価 他者評価 自己評価 他者評価 自己評価
Champasak Paksong 1 2 0 1 2
Khong 1 2 0 1 2
Moonlapamok 1 2 0 1 3
Champasak 1 2 0 1 4
Salavan Kongxedone 1 1 3 1 3
Vapi 1 1 3 1 3
Samuay 1 1 3 1 3
Sekong Thateng 1 1 3 1 9
DakCheung 1 1 0 1 2
Attapeu Phouvong 2 3 2 1 7
Saysettha 0 3 0 1 7

各県の日常管理と継続的質改善活動

各県病院は、引き続き、第9回自己評価の結果から抽出した改善課題に取り組んでいます。

・サラワン県病院ではカンガルーマザーケア(KMC)の質改善に取り組んでいて、サービスの成果を測定するための患者インタビューを実施し、その成果をまとめているところです。
・セコン県病院では、正常分娩後のケアの改善や、前回帝王切開術後の経腟分娩トライアルの導入に取り組んでいて、前回帝王切開術後の経腟分娩トライアルの安全性や成果を測定するために、診療録を用いた情報収集とその分析を行いました。
・アッタプー県病院では、以前に作成した独自病院質基準を活用しながら新生児蘇生の質改善に引き続き取り組んでいて、看護師を対象とした院内トレーニングを実施しました。
・チャンパサック県保健局は、県内の医療施設の質改善を目指した実態調査を計画し、10月にチャンパサック県病院で患者105名を対象にインタビューを実施しました。
・また、チャンパサック県病院では、COVID-19対策として、インフォメーションセンターに飛沫防止のガードを設置しました。また、患者同士の一定の距離を確保するために、会計窓口では床にマークを表示し、外来待合室では椅子を増やして一定間隔で座席を空けるための注意シールを貼付しました。
・セコン県タテン郡病院では患者対応の改善・スタッフの仕事に対する意識改善のため、来月からスタッフ向けに病院独自でトレーニングを開始する予定です。

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チャンパサック県病院のインフォメーションセンターに設置された飛沫防止のガード

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チャンパサック県病院の会計窓口の様子

病院看護部(/委員会)のクオリティ・マネジメント

継続的質改善活動の一環として、4県病院の看護委員会は、病院の質管理業務で果たす看護委員会の役割(TOR)の文書化を目指しています。TORを完成させる技術的インプットと場を提供すべく、11月中旬にチャンパサック県に4県病院の看護委員会と質委員会を集めた実践経験共有機会の会議を開催予定です。10月14日に講師となるビエンチャンの看護アドバイザーと第1回計画会議を実施しました。看護専門家が10月20から22日にサラワン県、セコン県、アッタプー県病院、10月28日にチャンパサック県病院を訪問し、関係者に会議の開催について周知、また、看護委員会のメンバーと面談しTOR作成支援を行いました。

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ビエンチャンの看護アドバイザー(最右と右から2番目)との第1回計画会議の様子。

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サラワン県病院看護委員会との会議の様子。

2. 実践経験共有機会(第4回ラオ・フォーラムの開催に向けて)

2020年度ラオ・フォーラムの第3回準備会議が11月3日にビエンチャンで行われました。前回会議を受けて、準備・運営のための各チームから準備状況について報告があったほか、次回、最終回の準備会合に向けてタスクの確認も行われました。演題発表の準備を担当するコンテンツ・チームからは全国から22のアブストラクト(演題要旨)の提出があったことが報告され、今後、演題の選考、口頭発表とポスター発表の振り分けなどを経て、フォーラムの骨子が固まっていくことになります。

次回の準備会合は12月10日に行われる予定です。

3. 質改善モデルの文書化

QHCモデルガイドライン:
ラオ語版の閲覧用サンプルブックを作成し、関係者に配布しました。関係者のコメントを聴取し12月の出版に向けて内容を最終調整中です。保健大臣による承認プロセスも近々開始する予定です。

ケースレポート:
各県では内容の最終確認と序文と謝辞の作成、県保健局局長の合意取得が完了しました。現在、レイアウトの整理、印刷会社と編集作業を行っているところです。

QHCモデルの郡病院への導入実践ガイド:
QHCモデルが県に全国展開された後、郡への導入をサポートする文書です。原稿は完成し、現在レイアウト、校正をおこなっています。

4. 学会発表

11月1日から3日までオンラインで開催されるグローバルヘルス合同大会・大阪に演題登録し、ポスターセッションに採択されました(演題名「医療の質の国際技術協力におけるリモートワークの強みと弱み:ラオス保健医療サービスの質改善プロジェクト看護管理チームの最終年度の経験から」筆頭著者:神田専門家)。