2020年12月のプロジェクトニュース

2021年1月1日

1.最終合同調整委員会の開催

2020年12月8日、ビエンチャンの保健省にて、「ラオスにおける医療サービスの質向上プロジェクト(The QHC Project)」の第4回合同調整委員会(JCC)が開催され、2021年2月に終了するプロジェクトの評価、成果、そしてプロジェクト終了後の展望などが発表、議論されました。

QHCプロジェクトは、チャンパサック、サラワン、セコン、アタプーの南部4県の経験に加えて、ビエンチャン県病院などの医療施設との経験交流を経て、病院の質管理の体制とルーティンをつくりだす「QHCモデル」を開発し、各種ガイドライン・マニュアルを執筆、出版しました。QHCモデルは(1)機能的な医療サービスの質改善委員会の設置、(2)質改善計画による目標設定、(3)定期的な自己評価を含む段階的な質改善のサイクル、質改善課題の優先順位付け、優先課題に対応する継続的質改善活動のルーティンを医療施設で実現するものです。

QHCプロジェクトの村井真介チーフアドバイザーは、QHCモデルは各病院が主体的な病院の質管理を行う際に有用な基本的なメカニズムであることをJCCで強調しました。「南部4県、ビエンチャン県病院、ラオス保健省治療・リハビリテーション局(DHR)による参加型で実践経験に基づいたこのアプローチは、ラオスの環境に質管理技術を適応させるために非常に重要なものでした。ラオス人の4年間の適応努力は、ラオスの他の病院へのQHCモデルの一般化と他の病院への汎用性を高めたと確信しています」。

会議の最後に、JCC議長を務めたDHRのカンプワ・スッティソンバット(Khamphoua Soutthisombath)局長は参加者全員に感謝の意を表すとともに、ラオスにおける医療の質の向上に向けた長い道のりの基礎となるべきQHCモデルに触れ、「南部4県の経験は、これからわれわれが何をすべきかを示すショーケースとなる」という考えを示すとともに、南部だけでなく、ラオスの全ての病院が最高のサービスを提供し、あらゆる面で5G1Sを満たしていくことへの期待を表明しました。

県病院での取り組みについて発表するQHCモデル担当者

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サラワン県病院のコーン医師

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チャンパサック県病院のスッサダー医師

対象県・郡病院の自己評価と患者満足度調査、他者評価の実施状況

JCCで推奨された、以下の残りの活動をすべて終了することができました。

・チャンパサック県病院は12月に第11回の自己評価を実施し、全4県病院は、2020年に3回の自己評価を実施するという成果目標を達成しました。
・他者評価は、セコン県保健局が12月18日、チャンパサック県保健局が12月30日に各県病院での他者評価を終え、全4県の県保健局は、2020年に1回の他者評価を実施するという成果目標を達成しました。
・患者経験・満足度調査は、チャンパサック県病院とサラワン県病院が12月に3回目の調査を実施し、全4県病院は、2020年に3回の患者経験・満足度調査を実施するという成果目標を達成しました。
・また、郡病院の自己評価は、チャンパサック県のパクソン郡病院とコーン郡病院が自己評価を終え、対象11郡病院の全てが2020年に3回以上の自己評価を実施するという成果目標を達成しました。

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チャンパサック県病院の他者評価:県保健局の評価者(最右と左から2番目)が、入院サービスの質基準の評価票を元に病棟看護師の手技を観察している様子。最左はガイド役の県病院職員。

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セコン県病院の他者評価:県保健局の評価者が、県病院院長と質改善委員会のチームリーダーに、病院の質管理体制の質基準を評価している様子。

2.QHCモデルの全国展開会議の開催

2020年12月22日、ビエンチャンの保健省にて保健省治療リハビリテーション局(DHR)主催でQHCモデルの全国展開が実施され、ラオス全国の医療関係者およそ100名が参加しました。QHCプロジェクトが南部4県での実践経験を元に開発した、保健医療サービスの質改善に資する「QHCモデル」を紹介し、QHCモデルに基づいた質改善サイクルの実施について活発な議論が行われました。QHCモデルのガイドライン他、南部4県の実践事例をまとめたケースレポートも配布されました。

DHRはQHCモデルの導入について、ラオスの保健医療政策である5G1S(Five Goods One Satisfaction)実現のために有効であり、今後、導入されるラオス病院認証制度が各施設に求める指標を達成する際にも活用できるものであるとの認識を示すとともに、実施に係る予算申請について、また、各病院の実情が異なることは認識しつつも、取り組みやすく改善効果が視覚的にわかりやすいトイレの改善を当面の共通目標としてQHCモデルのサイクルを導入するなど、具体的な提起を行いました。

本セミナーを受けて、プロジェクトは1月に開催予定の第4回ラオ・フォーラム時に中央病院・センター、全県の県保健局と県病院の質改善担当者を招いたQHCモデル研修を開催する予定です。

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政策への適用について話すソンマナ副局長

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全国の県病院、保健局関係者が参集