1年生の教科書・教師用指導書のバリデーションが終わりました。

2017年7月14日

プロジェクトニュース第一弾として、今回は、現在開発中の小学1年生の算数教科書ならびに教師用指導書の開発状況について紹介したいと思います。

教科書開発の概要

2016年2月に本プロジェクトは正式に活動を開始し、ラオス教育スポーツ省の傘下にある国立教育科学研究所(Research Institute for Educational Science:通称RIES)とともに、国定の初等算数教科書とその教師用指導書をつくっています。RIESは、現在小学校の全7教科の教科書を開発中ですが、ラオ語を含む6科目をオーストラリアが、算数を日本が支援しています。
執筆チームには、RIES算数ユニット(課長のウティットさんは、JICAの支援を得て日本で1年間算数カリキュラムの研修を受け、満を持して執筆チームのリーダーを務めています)、教師教育局算数科担当者、ドンカムサ教員養成校の算数教官、近隣の小学校の校長先生が参画しています。彼らとともに、日本の算数教科書の編集に長年携わる専門家、途上国の算数教科書の制作にかかわってきた専門家が、「ああでもない、こうでもない」と頭を悩ませながら、ドラフト原稿をつくります。その原稿が紙面編集され、試行版教科書・指導書が出来上がります。これらの作業は時間も労力もかかるため、他科目と足並みをあわせて、1年生の本一冊を4分割して開発しています。
この試行版が、ターゲット4県の中から選ばれたトライアル校(計25校)で、2016年度の新1年生の手に渡り、2016年9月から2017年5月にかけて、1年間を通して使ってもらい、使用感について意見をもらいました(バリデーションという)。

教科書バリデーションのモニタリング出張

モニタリングでは、執筆チームが、ターゲット4県に分かれて、トライアル25校を巡回し、新しい教科書を使って教える先生にインタビューをしたり、授業観察をしたり、子どもの理解度チェックを行いました。
では、バリデーションが行われた小学校ではどのような反応があったでしょうか?
例えば、南部サラワン県では、1学期末の理解度テストを行った結果、半数以上の子どもが、数の分解(例えば、5は2と3でできている)が出来ず、試行版教科書の説明では内容が不十分なことが分かりました。執筆チームは、先生から意見をもらったり、指導書をもとにして新しい教え方を説明したり、ときには実際にその場でデモンストレーションしたりして、先生との話し合いを重ねました。モニタリングを通じて、執筆チーム自身も、日本の算数教科書が意図している「子どもが自ら考え、問題解決する」ようになるための教材づくり、への理解を深め、開発に活かしています。

次のステップ

2017年5月に、1年生のバリデーションが終わり、現在RIESでは、全教科で教科書・指導書の修正作業にあたっています。7月中旬には、カリキュラムおよび教材承認委員会(CACIM)が行われるので、目下それに向けた内容の最終化、編集作業が急ピッチで進んでいます。日本で多くの教科書紙面編集を手掛けてきた専門家の支援を得て、今日もRIES算数チームは頑張っています!

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南部サラワンの小学校。数の分解、お勉強中。

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算数理解度テストに取り組む1年生

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モニタリングで、試行版教科書と指導書をもとに、話し合う小学校の先生と執筆チーム

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新算数教書では、ペットボトルキャップを使って数の分解を学びます。

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校庭からの眺め。子どもたちが昼食を食べに家に戻っていきます。