潅漑水路簡易補修研修

2018年10月11日

2018年10月10日~11日

当プロジェクトは、乾期(12~4月)にポンプ、水路を使って水田に潅漑を行っています。水路は、土水路とコンクリート水路の両方があり、コンクリート水路は雨期の洪水や経年の劣化により補修を行う必要があります。しかし、政府、水路を管理する水利組織共に十分な予算がないため必要な補修が行われず、結果として損傷箇所が拡大し、より一層補修が難しくなっています。

行政職員は、水利組織に対して「必要な予算を確保し、コンサルタントに設計を依頼し、施工業者に補修工事をさせる必要がある。」といった指導にとどまっていたことから、プロジェクトでは、コンクリート水路の簡易補修に関する技術研修を実施しました。

この研修は、県農林局、郡農林事務所の潅漑技術者が参加し、簡易補修のポイントや施工事例を学んだ後、プロジェクトサイトにおいて実際に損傷しているコンクリート水路を調査し、補修工事のデザインを自ら作成し、全員で実際に補修工事を実施しました。

補修工事の実践では、日本人専門家は、「資材(セメント、砂利、砂袋等)と機材(人力作業用のスコップ等)はこれだけ。作業人員は参加している潅漑技術者のみ。重機は使わない。補修工事日数は1日のみ。この条件下で、皆さんで議論してデザインを考え、実際に補修工事を行って下さい。」との指示を出しました。

参加した潅漑技術者は、理想的なデザイン(鉄筋を使用して強度を高めたり、既製品のコンクリート製品を使用するなど)を提案したり、重機の使用を求めたりしてきましたが、「農家が限られた予算と時間で、自分達で行える有用な技術を教えることが技術者の役割。その能力を強化するための研修であり、頑張って考えてもらいたい。」と励ましました。

参加者は悪戦苦闘しながらも、それぞれが持っている潅漑技術の知識を動員してデザインを考え、補修工事を何とか予定通りに行うことができました。

今後は、各自が担当しているプロジェクトサイトの水利組織に対して研修で学んだ成果を活かして指導を行い、今乾期作の潅漑が円滑に実施されることが期待されます。

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補修工事を行う前の水路

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潅漑技術者全員で施工(農家ではありません)

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1日で完成!