サバナケット洪水対策で2万ドル相当の緊急援助活動、イネ種子・肥料貸与事業

2020年12月15日

サバナケット県では、本年10月に洪水が発生し、県内23,000ヘクタールの水田に被害が発生しました。本プロジェクトが対象としている3つの郡(チャンポン郡、ソンナンブリ郡、ソンコン郡)は特に被害が大きく、今回の被害全体の7割がこれら3つの郡に集中しており、3郡における稲作栽培面積の被災率は平均85%にも達しました。

このため、本プロジェクトでは、これまで営農分野で実施してきた、コメの生産性向上と生産技術の定着・普及を図るための「種子・肥料貸付事業-栽培技術強化プログラム」(以下、「本プログラム」)を、被災地の農家に広く行き渡るようにするために、実施規模を拡大することとしました。本プログラムは、優良種子と肥料を農家に貸与すると同時に、種子の選別方法、施肥技術、病害虫管理などの基本的な技術の研修を併せて行うプログラムです。

本プログラムの大きな特徴は、優良な種子や適切な量の肥料を購入する元金のない農家でも栽培に取りかかることができるということ、そして、播種期から収穫期までの最も適切な時期に研修を実施して、研修の後すぐに必要な肥料を配布するので農家が学んだ技術を正しく実践することができ、効率的に収量の増加を図れる、という点にあります。また、栽培期間中は県・郡の普及員による農家への現場指導も併せて行われるので、各農家の状況に合わせたアドバイスも受けることができます。

収穫後は、種子と肥料の代金を農家から回収し、サバナケット県農林局が基金を管理し、次の作付け用の種子・肥料の購入の資金に充当するので、本プログラムは持続的なプログラムとして機能しています。既に2018年から2019年の乾季から、これまで4回実施されており、961軒の農家(延べ人数は1,340軒)が参加し、着実に増収効果が見られています。

今回の洪水被害を受けて、JICA側が本プログラムに総額約2万ドルの資金を追加したことにより、今季作における農家の参加枠が拡大され、洪水被害の激しかった地区の205農家がもれなく本プログラムに参加できるようになりました。

早速、11月24日には第1回目の農家研修が行われ、研修の直後に種子と基肥(最初に投入する肥料)が農家に配布されました。続いて、第2回目の研修は12月に予定されており、その直後に追肥(田植えの後に播く肥料)の配布が予定されています。

本プログラムは、これら被災農家に対して優先的に種子・肥料を貸与することで、すばやい対応で農業生産に寄与することができ、損害からの回復を促進することが期待できます。研修に参加した農家からは、JICAプロジェクトの素早い対応にたいする謝意が述べられたとともに、視覚教材を利用した研修はとても分かりやすいと好評を得ました。また、サバナケット県の上層部からも、本プログラムは1回限りではなく、持続性のある栽培技術強化プログラムだとして高い評価を受けています。

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チャンポン川の氾濫の様子

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チャンポン郡-ソンナブリ郡間の道路状況

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圃場被害の様子(ソンナブリ郡ノンブアルアン地区)

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事前説明会と参加申込み(ソンナブリ郡ノンブアルアン地区)

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第1回目研修(ソンナブリ郡ノンブアルアン地区)

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第1回目研修(ソンコン郡ノンドゥーン地区)

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第1回研修後の肥料の配付(ソンナブリ郡ノンブアルアン地区)

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第1回研修後の肥料の配付(ソンコン郡ノンドゥーン地区)