授業再開とマリの遠隔教育事情

2020年6月30日

新型コロナウイルス感染拡大への対応が続くマリですが、中学高校の最高学年のみ、6月2日より授業が再開されました!

日本では、臨時休校への対応として遠隔教育が、教育の新しい可能性を感じさせる方法として話題になりましたが、子どもの学校外でのインターネット接続環境やPC・タブレット等デジタルデバイスの有無など、アクセスの公平性に関する課題も浮かびあがりました。
マリでも、臨時休校中の学習の保証は深刻な課題です。マリ政府は、3月中旬の臨時休校開始と同時に休校中の学習支援策を発表し、約1ヵ月後の4月中旬から遠隔教育を開始しました(中学高校の最高学年のみ)。まだそれほど一般的でないインターネットやデジタルデバイスに頼らず、既存の国営テレビやラジオ放送を活用するという地に足の着いた方策を採ることで比較的早く開始することに成功しています。他方で、遠隔授業放送の情報が肝心の生徒たちに十分伝わっていない、テレビがない家庭がまだまだ多い、テレビがあっても停電が頻発していて使えない、教授が画面上で説明するだけでは生徒の理解が追い付かない、などの課題も指摘されました。まだまだ改善の余地はありますが、マリの教育課題を解決していく一つの手段として、遠隔教育の可能性が示される機会になったと思います。

プロジェクトでは先月に続き、カウンターパートとローカルNGOスタッフによるモニタリング活動を継続しています。電話やSkype、SNSといった遠隔でのコミュニケーション手段も有効ではありますが、現場で顔を突き合わせ、直接励ますことができる現場訪問は、地方の教育行政官やコミュニティを大きく力づけており、困難な状況にあってもやるべき活動、実施可能な活動をしっかり進めていこうというモチベーションにつながっています。我々日本人専門家は、現場のこのような熱意・活気をSkypeによるリモート会議を通じて感じつつ、一刻も早く再び現場で一緒に活動したい、と思いを募らせています。

現場では現在、算数ドリルの公式承認ワークショップの準備、パイロット活動再開に向けたコロナウイルス感染予防策の検討、4月に実施した中学校向けCGSモデル検討調査の結果分析を進めています。調査結果からは、中学校のCGSがより機能するためのモデル改善として、事務局の機動力、学区内の全コミュニティの参画促進、十分な意欲と能力を有した人材の起用、行政による学校運営支援強化、などのポイントが抽出されてきており、今後はこれらを盛り込んだガイドラインづくりを進めていくことになります。

まだしばらくはリモートでの活動となりますが、引き続きチーム一丸となって取り組んでいきます。引き続き皆さまの温かいご声援をよろしくお願いいたします。

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モニタリング会合の様子(ノソンブグ地域)教育行政官による教育課題と解決策の発表

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モニタリング会合の様子(ノソンブグ地域)計画した活動の達成状況の確認です。これまでの支援によりモニタリング体制が強化され、無事計画通り活動を実施できています(右端の100(%)が実現率)。