コロナ禍での2度目のクーデター経験、プロジェクト継続への熱い想い

2020年8月31日

マリではこの数か月間、コロナ禍に加え、大統領に対する国民の不満が噴出し、大規模なデモ集会が繰り返し行われてきました(先月のプロジェクトニュース参照)。近隣諸国の大統領からなるECOWAS調停団が野党勢力との調停に努めてきたものの解決には至らず、とうとう8月18日に国軍兵士の一部が大統領、首相その他閣僚、軍上層部数名を拘束、翌日大統領自身が国営テレビ放送において自身の辞職と国会の解散を表明する事態となりました。

反乱部隊はその後、国民救済のための国家委員会(CNSP)を創設し、民政への移行を進める意向を表明。ECOWAS使節団もすぐにマリへ入り、CNSPや拘束中の大統領と会談、27日には大統領が解放されました。現在も移行機構の設立へ向けた協議が進められています。

プロジェクトでは、算数ドリルの第1回改訂・承認ワークショップの開催準備、9月から算数ドリルを用いた補習活動の再開に向けた新型コロナウイルス感染対策キット(マスク・アルコール消毒・手洗い石鹸など)の配布及び使用方法説明に向けた準備を着々と進めてきましたが、このような状況の下、現在は一時的に活動を休止しています。

CNSPはクーデター発生直後より国内治安平定へのコミットメントを表明するとともに国民へは通常の社会経済活動の継続を呼びかけ、行政も民間サービスも通常営業、夜間外出禁止も緩和されるなど、人々の生活はほぼ普段通りのようです。そのような中、カウンターパートやローカルNGOスタッフなどプロジェクト関係者は、早期のプロジェクト活動再開に向け、準備を進めています。

新型コロナの影響により奪われた子どもたちの学習機会を今後少しでも取り戻すためにも、また「みんなの学校」アプローチの普及を通じ、暴力ではなく話し合いで物事を解決し相互信頼に基づくより良い社会づくりの文化をマリに根付かせていくためにも、ここでプロジェクトを中断するわけにはいきません。このような状況、国だからこそ、私たちの協力を継続することに意味があると、プロジェクト関係者全員が確信しています。

というのも今回、このプロジェクトにとって2度目のクーデター経験だからです。前回2012年のクーデター後は案件中断の憂き目に遭い、日本側、マリ側両方で、多くの関係者の方々の信念とご理解、地道な努力の積み重ねにより、中断から7年後となった昨年に漸く本格的なプロジェクト活動が再開できたばかりだからです。一度や二度のクーデターでへこたれてはいられません。そこで何が起ころうとも、子どもたちはそこにいて、未来のために教育を必要としていることに何ら変わりはないからです。

引き続きカウンターパートやローカルNGOスタッフと密に連絡を取り、情勢を慎重に見極め、関係者の健康と安全を最優先しながら、柔軟にプロジェクト活動を進めていきます。

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モニタリング会合の様子(ノソンブグ地域)計画した活動の達成状況の確認

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Skypeを通じた現地チームとの会議の様子