リスクの下での教育支援 -誰が子どもの学びを守るのか(その2)-

2022年1月31日

先月の記事にて、ファナ地域にて教育フォーラムが開催されたことを報告しました。続いて今月は、ノソンブグ地域とジョイラ地域でも、同じく「小学校(2・3年生)の算数学習を改善しよう」をテーマに、1/5-7に教育フォーラムを開催しました。

プロジェクトの支援による3回目の教育フォーラムということもあり、現場の教育行政官たちが中心となって事前準備から当日運営、決議の採択まで滞りなく円滑に行い、これまでのプロジェクトの支援が彼ら自身のノウハウとなってきたことを実感しました。フォーラムに参加した各自治体の長、教育委員長、市民団体代表、教員組合代表、そして学校運営委員会(CGS)連合の代表者は、今年実施する算数学習改善支援活動をそれぞれ約束し合い、今後は学年度末にかけて、県の教育センターが中心となってそれら決議事項の実施状況をモニタリングしていきます。

今回の教育フォーラムには「教育フォーラムを通じて、住民参加による算数学習改善活動を普及させる」というアプローチを試すという狙いがあり、各アクターの決議事項は算数学習改善に係る活動、算数ドリルを用いた補習活動の実施と支援です。先月報告した通り、これまでバマコ特別区とノソンブグ地域内の12の小学校で試行していた取り組みを、3つの教育センター(CAP)の管轄地域内の全小学校(380校)へ拡げることになります。

算数ドリルを使った放課後学習活動を実施するためには、各CGSにて活動計画に関連活動を盛り込み、学習を見守る地域ボランティアの選定と協力など、保護者や地域住民の理解と支援が不可欠です。そこで、教育フォーラムを通じてコミュニティの代表者と行政が算数教育の課題を共有し、改善策について話し合い、それぞれにできる支援策を約束し合う場を提供することで、行政と学校とコミュニティの協働によるこの取り組みが、本人たちの決意によって行われるよう支援しています。またこの機会を活用し、対象380校のCGS委員に対しては、参加型学校運営手法に関する研修も実施しました。教育省本省のカウンターパートと再委託先スタッフが講師となって対象3CAPの指導主事18名への3日間の研修(12/27-29)をバマコで行い、研修を受けた指導主事が各学校のCGSの委員4名(委員長、校長、教員代表、市民団体代表)への研修をそれぞれ実施しました。

ここまでで、今年プロジェクトが取り組む「教育フォーラムを通じた住民参加による算数学習改善活動の普及」の手順(下のリンク参照)のうち、「2.主役となる学校運営委員会(CGS)メンバーへの研修を行う」まで進んだことになります。

私たち日本人専門家は、安全対策措置により依然として教育フォーラムや研修の実際の様子を現場で見ることはできませんが、カウンターパートや再委託先スタッフがWhatsAppグループでの写真やメッセージの共有を通じて、現場の様子をリアルタイムで伝えてくれています。これまでに築き上げてきた信頼関係があればこそ、遠くにいても現場の彼らと共にプロジェクトを進め、本当に支援が必要な場所にいる子どもたちに日本の支援をしっかりと届けることができているのです。

次回のプロジェクトニュースでは次のステップ「3.CGSが選んだ放課後学習支援ボランティア(ファシリテータ)への研修」の様子をお伝えします。

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ノソンブグ地域の第3回教育フォーラム(県知事による開会の挨拶)

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ジョイラ地域の第3回教育フォーラム(会場内のCGS連合の代表者等)

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ノソンブグ地域の第3回教育フォーラム(決議のためのグループ討議)

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ノソンブグ地域の第3回教育フォーラム(決議のためのグループ討議)

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ジョイラ地域のCGS委員研修(コミュン長の挨拶)

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ジョイラ地域のCGS委員研修(講義の様子)

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ジョイラ地域のCGS委員研修(グループワークの様子)

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ノソンブグ地域のCGS委員研修(指導主事による講義の様子)

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ファナ地域のCGS委員研修(グループワークの様子)

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ファナ地域のCGS委員研修(グループワークの様子)