指導医講習会の内容をアップデートしました(続報)

2019年11月11日

2019年11月5~7日、内容をアップデートした指導医講習会(TOT研修)が実施されました。これは2019年5月末に行われたワーキンググループの活動を継続させたものです(プロジェクトニュース2019年6月2日参照)。

モンゴル版TOT研修は、2016年に開始され、すでに500人を超す指導医がモンゴル全土に育成されています。しかし、昨今の医学教育の世界的潮流、また現場の医師のニーズに合わせ、研修内容を改定する必要が生じており、初回のアップデートを半年ほど前に行いました。今回は、プロジェクトの開始当初から指導医講習会の開発・実施に関わってくださっている中島医師、また日本において新しいスタイルの指導医講習会の開発に関わっている高村医師、2名の専門家を招き、改定作業を進めました。

前回の改定作業でも、社会に求められる医師像(アウトカム)を明確にし、その医師像に近づくために研修の目標、方略、評価を考えるアウトカム基盤型教育に関する内容が盛り込まれましたが、今回はその内容をさらに充実させました。また指導医が実際の診療現場で研修医を指導する際に役立つ研修になることを意識し、複数の効果的なフィードバック法について実践的に学ぶことができるよう、実習の時間をさらに増やしました。

11月5日から行われたTOT研修には、46人が参加者しました。通常の研修の倍ほどの人数でしたが、ファシリテーターの準備や研修管理も滞りなく行われ、モンゴルにおけるTOT研修が確実に根付いてきていることがよくわかりました。また前回の改定作業の際に、ファシリテーターの先生たちが新しい内容をある程度理解したこともあり、今回の改訂版の内容をファシリテーターの先生が非常によく理解していることが印象的でした。

プロジェクトでは、現在看護師のTOT研修を開発しています。今回改定された内容には、看護師の指導者を養成する研修にも役立つものが含まれていますので、看護師のTOT研修にも良いものは取り込んでいきたいと考えています。また医師のTOT研修も、完全な改訂版を完成させるためには、あともう少し作業が必要です。時代のニーズにあったモンゴルの医療分野における指導者を養成することができるよう、続けて支援したいと考えています。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

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求められる研修医の能力を協議する参加者たち

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研修医への指導法をロールプレイを通して学びました

【画像】TOT研修の参加者たちと集合写真