乳幼児の発達評価に活用できるマニュアルの開発が行われました

2019年11月11日

プロジェクトでは、乳幼児の発達を評価する方法を学ぶ研修パッケージを開発し、ウランバートルや地域で研修を実施してきました(プロジェクトニュース9月26日参照)。研修を受けた後、地域で診療する医師たちが乳幼児の発達を評価する際、素早く評価方法を確認するマニュアルがあると、学んだことをより効果的に実践できます。そこでプロジェクトでは、乳幼児の発達評価に活用できるマニュアルの開発に取り組みました。

このマニュアルの開発のため、国立国際医療研究センターの島田医師(小児科)が9月に4週間弱、そして10月に3週間ほど、2回に分けてモンゴルに滞在し、マニュアルの作成に対する技術指導を行いました。

まず国立母子保健センターの院長先生や小児神経科、小児リハビリ科の医師たちと面談を行い、活動の概要を共有しました。また国内で利用されている、様々な発達評価ツールや日本で用いられている乳幼児健診マニュアルを参照し、地域医療の現場で活用しやすい構成になるよう配慮しました。またWHOモンゴル事務所やアジア開発銀行の事務所も訪問し、それぞれが取り組んでいる小児発達評価や発達の遅れがある子どもたちへの活動内容に関する情報収集も行いました。

最終的には、月齢ごとに認められる乳幼児の運動発達のステップや反射を写真とともに解説し、異常を判断するポイントや異常を認める時に考えられる原因などを記載した内容になりました。島田医師の滞在期間中に、ほぼ全てが完成しましたが、あともう少し修正を加えた上で、保健省小児専門委員会に審議していただくことを考えています。そして国の標準マニュアルとして活用することができるよう、継続して技術指導したいと考えています。

このマニュアルが地域で診療する医師たちに活用されると、運動発達の遅れがある脳性麻痺などの子どもたちの異常が早期に発見され、早期のリハビリにつながる可能性があります。全ての子どもたちが適切に発達の評価を受け、取り残される子どもたちが地域に一人も出ることがないように、地域の医療の質の向上に貢献できることを目指し、プロジェクトも支援を続けたいと思います。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

【画像】

マニュアルのドラフトと表紙の案を手に(中央が島田医師、向かって左がBolormaa医師、右がAnujin医師)