オルホン県地域医療診断センターで実施している総合診療研修の評価を行いました

2020年4月29日

プロジェクトが作成を支援した研修指定病院の評価基準は、2019年3月に保健開発センターにより評価ガイドラインとして承認されました。その後、2019年6月に、プロジェクトのモデルサイトであるオルホン県地域診断治療センター(RDTC)で行われている総合診療研修が評価されました(2019年4月20日および6月28日のプロジェクトニューㇲを参照)。なおモンゴルでは、2019年を通し、卒後研修を実施している全ての研修指定病院が統一された基準で評価されましたが、オルホン県RDTCの総合診療研修の実施状況は、最も高く評価されていました。

2020年4月22日、前年度に行われた評価の際に病院側に提出されていた改善すべき推奨事項の達成状況と現在実施されている研修の進捗状況の確認を行い、必要な助言、指導を行うことを目的に、保健開発センターの担当官がオルホン県RDTCを訪問しました。オルホン県RDTCは、地方で初めて研修指定病院として認められましたが、評価が行われる前に、その認定証(2019年10月に医療従事者開発委員会にて承認)が保健開発センターのErkhembayar担当官からBatsukh院長に贈られました(写真1)。なお研修指定病院の承認期間は4年です。

評価では、研修運営、カリキュラムの達成、研修の基本文書、研修管理委員会の機能、臨床研修指導医の能力、研修医の評価、研修環境(研修室、図書室)、研修医の支援環境、研修基幹病院と協力病院における研修の実情といった項目を調査しました(写真2)。またOJTとOffJTの様子を観察し、研修医の朝のカンファレンス、抄読会にも参加し、小児科ローテーション研修で行われていた研修医対象の講義を聴く等、研修活動も視察しました(写真3)。

また初年度に研修に関して指導医と研修医を対象に行った調査結果を参考に、ローテーション研修の運営改善を図り、指導医と他の医師の積極的な参加を促すために取り組んでいることについて、RDTCの研修部から説明がありました。

質の良い総合診療研修を実施するために、今年から協力病院を増やし、二つの家庭病院(地域の一次医療施設)、Medipas(私立病院)、Jargalant soum病院(村の医療施設)といった4つの医療施設と協定を結んで研修を実施しています。その一つであるUilsbadrakh家庭病院におけるローテーション研修の様子も視察しました。当家庭病院では、総合診療研修の一期生であるGantuya医師が働いています。彼女は新しく来る研修医の手本になっています。総合診療研修の卒業生は、皆能力が高いと当家庭病院のMandakh院長が強調していました。

RDTCの指導医たちは、これまで日本人医師の協力を得て産婦人科と小児科のローテーション研修で使う研修マニュアルや手技の学習を目的とした映像マニュアルなど、合わせて3つのマニュアルを作ってローテーション研修で活用しています。

今回の評価では、RDTCの研修部、指導医たちの努力の結果、卒後研修の質が向上するという成果が上がっていることがわかりました。今後は、オルホン県RDTCで行われている卒後研修が国のモデルとなり、国内で広がることができるよう、プロジェクトができることを考えいきたいと思います。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明
プロジェクトアシスタント(オルホン県RDTC内事務所) Nyamaa Enkhjargal

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写真1.保健開発センターのErkhembayar担当官からBatsukh院長に対し研修指定病院の認定証が贈られました。

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写真2.RDTCの研修部スタッフから、研修関係の文書、総合診療二期生の研修プログラムについて説明がありました。

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写真3.Byambasuren医師(研修医)は朝のカンファレンスで発表をしています。

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写真4.家庭病院でのローテーション研修を視察しました。立っているのがMandakh 院長とGantuya医師

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写真5.研修指定病院の認定証