No.14:改良版コミュニティ計画策定プロセスを実施しました

2017年1月25日

本プロジェクトは、前フェーズにおいて、改良O&ODの考え方に基づいた新しいコミュニティ計画策定プロセス(Community Planning Process: CPP)をパイロット10村で導入し、過去5年間実践してきました(注1)。今年は、過去5年間の経験と実施状況を郡ファシリテータ(注2)たち(Ward Facilitators: WFs)とともに振り返り、CPPに新たなセッションを2つ追加し、改良しました。

【画像】2016年6月21日に開催したCPP改良のための第1回目ワークショップ。WFsとともに、これまでのCPPの実施状況を振り返り、改善すべき点を議論しました。

【画像】2016年8月15日に開催したCPP改良のための第2回ワークショップ。対象10県の全WFs及び自治体タスクフォース(注3)(District Taskforce: DTF)メンバーに改良版のCPPを提案しました。

具体的には、まず、住民たちが過去1年間に取り組んだコミュニティ・イニシアティブ(注4)(Community Initiative:CI)の進捗を確認し、振り返りを行うセッションを追加しました。住民たちが自分たちの行動を自分たちで振り返り、うまくできたところはどこか、それをどう次の行動でも活かしていくか、また、うまくいかなかったところは、どのように修正・解決していくべきかを話し合うことで、住民たちが自らの経験を踏まえた学び・気づきを得ることが狙いです。

次に、CPPの締めくくりとして、コミュニティ開発計画(Community Development Plan: CDP)を策定する際に、向こう1年間でコミュニティが実際に取り組む活動の絞りこみを行い、個々のCIに対する具体的なアクションプランをたてるセッションを追加しました。これまでのCPPの経験分析から、能力の高いパイロット村やWFsにおいては、CPP実施後、村の中に存在する資源と自分たちの経験・能力を十分に考慮して、各CIに対する具体的かつ現実的な目標やアクションプランをたてるという作業が自然と習慣化していたことが明らかになったからです。このグッドプラクティスを全ての対象村・WFsに実践してもらい、住民たち自身がCDPを具体的に実施することを可能にするため、CPPの手順のなかに盛り込みました。

これらの改良を2016年8月に開催したワークショップで対象10県のDTF及びWFsに説明し、その後、地方自治体レベルの次年度に向けた計画策定時期が始まる9月以降に、改良版のCPPが、対象10県の合計45村で実践されました。O&ODチームは、そのうちの合計11村のCPPにオブザーバーとして参加し、実施状況を調査しました。

【画像】CPP歴6年目のウランガ県ナカフル村では、WFsではなく、住民のなかから選ばれたコミュニティ・ファシリテータたちがCPPの司会進行を行っていました。彼らの活躍により、3日間にわたり、ときにダンスや歌をはさみながら、活発なディスカッションが展開されました。

【画像】ウランガ県ナカフル村のCPP1日目、過去1年間の振り返りセッション。以下のような進捗が確認されました。
・学校のトイレ建設(合計16完成)
・井戸3基の新規設置と3基の修繕
・合計60台の学校の机の作成・設置
・3集落における道路の修理(合計1.4キロメートル)
・教員宿舎の建設の前進
・農業生産関連のグループ活動の活性化(5グループから12グループへ増加)
など。

【画像】改良O&ODの経験がまだ浅いキリマンジャロ州のハイ県、シーハ県及びサメ県のパイロット6村は、今年でCPP2年目。2016年10月3日〜7日、O&ODチームとともにシニアファシリテータ(注5)(Senior Facilitator: SF)たちが新米WFsのCPP実施を支援しました。左は、ハイ県ルンドゥガイ郡チェキマジ村でのCPPの様子です。

【画像】シニアファシリテータからアドバイスを受けるサメ県ルグル郡ルグル村のWFs。

【画像】アクションプランの中で学校建設の手順と必要な予算について住民と共有する村のエンジニア。サメ県ルグル郡ルグル村。

今後、O&ODチームはWFsとともに2016年のCPPの実施状況を改めて振り返り、CPPガイドライン改訂の最終化を行っていきます。

(注1)過去5年間実施されてきたCPPの流れについては、「プロジェクトニュースNo. 6 キリマンジャロ州でコミュニティ計画策定プロセスを実施しました」をご覧ください。
(注2)地方自治体によって選抜され、改良O&ODのファシリテータ研修を受けた郡レベルの普及員(自治体職員)。ファシリテーションを現場で継続的に実施する役割を持ちます。
(注3)選抜された県庁職員によって構成されるチーム。改良O&OD強化アプローチにおいて対象自治体内の中心的役割を担います。
(注4)住民が自発的且つ主体的に意思決定と実施プロセスに参加をしている開発活動を指します。
(注5)2〜3年の改良O&ODのフィールド経験を有し、パフォーマンスが優れ、かつシニアファシリテータ研修を受けたWF。決められた基準に沿って選出・登録され、以下の役割を持ちます。
1)所属する自治体内外の経験の浅い郡ファシリテータの能力強化を支援する。
2)所属する自治体内での改良O&ODの普及・展開の中心部隊となる。