GHG排出量算定・削減計画策定に向けたセクター別民間企業技術研修の開催(セメントセクター)

2022年12月15日

2022年12月14日~15日

2021年に施行された改正環境保護法の下に公布された「GHG排出量軽減とオゾン保護に関する政令(06/2022/NĐ-CP)」(以下、政令6号)では、一定のGHG排出量を超える民間事業所は、GHG排出量算定報告が義務付けられます。また、該当事業所は自身の排出量を把握したうえで、事業所単位でのGHG排出削減計画の策定が求められ、同法に基づいて将来的に設置が予定される国内排出量取引市場への参画が期待されています。

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SPI-NDCプロジェクトでは、2022年12月14日、15日にハノイにてセメントセクター対象の民間企業研修を開催しました。

政府が策定した国内法の履行に基づくNDCの実施を支援する観点から、当プロジェクトではこれまでベトナム国天然資源環境省(MONRE)ベトナム商工会議所(VCCI)の官民連携フレームワークのもとで、2022年6月に民間企業ダイアログ(注1)を、同年10月にはCEO/企業管理職向け相互学習(注2)をそれぞれ実施してきました。本研修は次ステップとしての業種別実務者向け研修と位置付けられ、政令6号に対応するGHG排出量算定、削減計画策定、排出量取引市場を網羅することを目的としました。

本研修は、企業のGHG算定報告・緩和計画要件への対応が法的に求められる中、「では実際にどうやってやるのか=HOW TO」の実務ニーズに応えるものとして、演習主体型の実利研修として設計され、対面・オンライン参加の双方を取り入れたハイブリッドで民間企業関係者など約100名の参加を見ました。

開催1日目(12月14日)

初日はベトナム国天然資源環境省(MONRE)、ベトナム国建設省(MOC)、SPI-NDCの共催者挨拶の後、3セッションが展開されました。

セッション1
  • 気候変動国内法制度と事業所のGHG算定報告要件(気候変動局(DCC))
  • 業界レベルの取組みに関する他国事例(日本セメント協会)
  • 先行企業の優良事例と経験の紹介
    ・ベトナムセメント総公社(VICEM)
    ・INSEE社
グループ演習1)
  • セメント工場のGHG排出源の概要とGHG排出量の算定方法
  • モデル施設を対象としたGHG排出量の算定
グループ演習2)
  • GHG排出削減計画
  • セメント工場でのGHG緩和策・排出削減量の計算方法講義
  • モデル事業実施によるGHG削減量算定の演習

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Pham Van Tan MONRE/DCC局次長

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Vu Ngoc Anh MOC局次長

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SPI-NDCプロジェクト 福田専門家/総括

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司会進行役のナショナルエキスパート Dang Hong Hanh氏/VNEEC社

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研修背景を紹介するSPI-NDC石井専門家

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講義・演習を行うナショナルエキスパート Nguyen Tien Hai氏/VNEEC社

開催2日目(12月15日)

2日目は更に発展的にテーマを捉え、排出量取引制度に関する講義・演習、政令6号下での事業所GHG算定報告オンラインシステム・デモ版の紹介と、資源循環と気候変動に関するセッションが展開されました。特に循環経済のセッションでは、概念と国際動向、UNDP循環経済ハブによるベトナム循環経済の取組が紹介され、更にセメント分野の循環経済の具体的施策・技術を学習しました。演習ではセクター資源循環計画の策定を想定した、グループディスカッションが行われました。

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法的要件を紹介するLuong Quang Huy DCC課長

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ナショナルエキスパート EPRO社Tang Hong Loan氏

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UNDP循環経済ハブ Hoang Dieu Linh氏

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セッション別演習でのディスカッションの様子

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セッション別演習でのディスカッションの様子

本研修では、演習で全員参加型のグループディスカッション形式が採用され、積極的な議論の結果、参加者の研修内容に対する理解が促進されました。また、会場のみならずほとんどのオンライン参加者が終日2日間にわたり継続参加するなど、研修内容への関心が高いことが伺われました。今回研修を糧として、今後もセメントセクターの気候変動への取組が促進されることが期待されます。