オルホン県地域医療診断センターのプロジェクト事務所が活動を終えました

2020年5月11日

プロジェクトでは、2018年4月より、プロジェクトのモデルサイトであるオルホン県地域診断治療センター(Regional Diagnostic and Treatment Center: RDTC)にサテライト事務所を設置し、オルホン県RDTCの活動を支援してきました(プロジェクトニュース 2018年4月5日参照)。およそ2年間の活動を経て、サテライト事務所を設置した当初の目的が達成されたため、2020年5月に事務所を閉じることになりました。

オルホン県RDTCの事務所には、プロジェクトのアシスタントとしてN. Enkhjargalさんが勤務していました。Enkhjargalさんはモンゴル国立医科大学の医学教育部の修士課程を修められた方です。オルホン県RDTCにおいて、モンゴルで初めてとなる総合診療研修を開始するにあたり、オルホン県RDTCの研修部に対する技術指導や病院の指導医たちの能力強化が必要でしたが、これらの活動を密に行うために、Enkhjargalさんはまさに適任者でした。

Enkhjargalさんは、オルホン県RDTCの研修部のスタッフや指導医たちと行動を共にし、まず研修指定病院となるために必要な課題を抽出してくれました。そして指導医たちを対象に勉強会を企画し(写真1)、自信を持って研修医を受け入れることができるよう、環境整備に努めてくれました。またスタッフたちと一緒に本邦研修にも行き(写真2)、総合診療研修の立ち上げに尽力してくれました。総合診療研修開始後は、研修医たちと行動を共にし、日々の研修の様子を報告してくれました。これにより、プロジェクト側が的確に技術指導を行うことが可能になりました。

2019年10月から総合診療研修が2年目に入り、オルホン県RDTCの研修部の活動や研修管理委員会の協議の様子を見ていて、プロジェクトからの技術指導がほとんど不要になる程、内容が充実してきていることがわかりました。オルホン県RDTCの研修管理の状況は、モンゴルにおけるモデルとなるに相応しい状態になりましたので、プロジェクトが密に関わる必要性は低くなりました。そこでプロジェクトのサテライト事務所を設置した目的は達成されたと判断し、2020年5月を持って、サテライト事務所を閉鎖することにしました。

オルホン県RDTCのBatskuh院長からは、Enkhjargalさんの貢献に対し、感謝の言葉をいただきました(写真3)。プロジェクトとオルホン県RDTCをつなぐ役割を地道に果たしてくれたEnkhjargalさんには、私たちも感謝しています。

プロジェクトの活動期間は残り半年となりました。サテライト事務所は閉鎖しましたが、オルホン県RDTCでの活動、またもう一つのモデルサイトであるチンギルテイ地区病院での活動は続けられます。今後は、オルホン県RDTCやチンギルテイ地区病院で行われている総合診療研修が確実に病院の事業として根付き、そしてこの研修が国のモデルとして国内の他施設の研修に役立つものとなるように、残された期間を有効に活用していきたいと考えています。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

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写真1.2018年7月にオルホン県RDTCの指導医たちの能力強化を目的に、Enkhjargalさん(写真右端)が企画した研修会にて。研修指導のためオルホンを訪問してくれた医科大のMyagmartseren准教授(中央)、Naidansuren医師(左横)たちとの記念撮影(プロジェクトニュース2018年7月23日参照)

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写真2.2018年6月に実施された本邦研修での一コマ。指導医から指導を受ける様子をオルホン県RDTC研修部のスタッフたちと共に視察し参考にしました(Enkhjargalさんは写真左端)。(プロジェクトニュース2018年6月11日参照)

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写真3.活動終了にあたり、オルホン県RDTCのBatskuh院長から感謝の言葉をいただきました。