ボランティアレポート「マラウイの経済発展に必要なもの」

2019年7月17日

名前:安富かなえ
隊次:2017年度3次隊
職種:PCインストラクター
配属先:ジングワングワ・セカンダリースクール
出身地:大阪府大阪市

名前:井上ちよ
隊次:2017年度3次隊
職種:PCインストラクター
配属先:チチリ・セカンダリースクール
出身地:兵庫県丹波市

名前:坪井沙由理
隊次:2018年度2次隊
職種:コンピューター技術
配属先:マラウイ医科大学
出身地:福井県大飯郡高浜町

名前:上杉祐介
隊次:2018年度2次隊
職種:PCインストラクター
配属先:ブランタイヤ・セカンダリースクール
出身地:北海道帯広市

天然資源に乏しく、世界の最貧国の一つとされている国土の小さなマラウイという国が発展するには何が必要なのか-私たちの要請に深く関わるIT技術の向上やIT産業の活性化がこの国の経済発展の一役を担うのではないかと考えました。とはいえここは発展途上国。まだまだ基本的なITインフラは十分とは言えず、産業においても教育においてもIT分野への投資が不足している状態です。この状況を改善すべく、私たちは生徒を対象とした「タイピング大会」を公に実施することで、未来の社会を担う生徒達のIT技術の向上を図りつつ、マラウイ社会へのIT投資を活性させる事を目指しました。

開催地探しから始まり、大会の継続性を念頭に置いた企画立案、スポンサー探しと教育機関へのプロモーション活動と、イベントの開催にはいくつもの問題や議論がありましたが、企画者それぞれが持つ能力を生かし準備を進めました。また、今後も継続的に開催できるように、地元のコミュニティグループと協力し、様々なマラウイ人としての意見を参考にしながら一緒にこのイベントを作り上げる事も大切にしました。

準備の中で一番頭を悩ませた問題が、賞品設定でした。マラウイでは所得の格差が大きく、金額が高過ぎればそれによって良くない影響が出る可能性がありますし、低過ぎれば大会の魅力や社会への影響力が削がれてしまいます。しかし、私たちはマラウイ人の金銭感覚を掴めていません。そこで、社会経済への影響力も考慮して、マラウイ国内の一般企業からスポンサーを探し、マラウイ国内で靴販売を行っている外資企業のBata Shoe Companyが実施するボランティア事業、Bata Children's Programより賞品を用意して頂くことにしました。

さらに、Facebookを中心にSNSやポスターなどを使用して広く大会の告知と参加者を募り、多くの問い合わせや参加希望のご連絡を頂くことができました。最終的にこちらの開催能力も踏まえて、市内9つの学校から30人以上の生徒が参加する大会となりました。

大会当日には、社会でのITについての理解を深めてもらう為に、国内IT分野での専門家の一人であるマラウイ医科大学ICT部門長からの講話と質疑応答も実施され、生徒達から沢山の質問があり、有意義な時間になったように感じました。

タイピングの試合になると、全員が静寂の中黙々とタイピングを始め、キーボードを叩く音が会場に響いていました。試合後の結果発表にはアニメーションを使用したPowerPointの対戦表が使用され、発表の瞬間には生徒全員がスクリーンに注目していました。

会場の都合上大会当日にしか準備する事ができず、使用予定のソフトウェアがパソコンに入っていなかったり、マウスがパソコンの台数分用意されていなかったりと、準備と確認不足によりバタバタしましたが、他のボランティアの力も借りて大会を無事実施する事ができました。

反省点も数多くありますが、大会後のアンケートでは、多くの生徒から「毎年開催して欲しい」との要望をもらい、「この大会を友人・家族などに勧めたいか」という質問に全ての生徒が「同意する」または「強く同意する」と回答し、「この大会が有益であったか」という質問にほぼ全ての生徒から「同意する」または「強く同意する」との回答をもらう事ができました。

大会終了直後から大会に参加した生徒からのみならず、参加しなかった生徒からも次回開催についての問い合わせを受けていたり、大会後も継続してタイピングの練習を続ける生徒がいたりと、大会実施の影響力を感じています。

この大会は来年の実施も予定しており、次回では複数都市開催、将来的には全国大会にできればと思っています。大会の規模と影響力を拡大させ、生徒や社会のIT関心を惹きつけ、教育や経済社会へのIT投資に刺激を与え、マラウイの経済発展に寄与する社会的イベントにしていきたいと考えています。

参考リンク

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大会参加者との記念撮影

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企画者全員の協力によって大会を実施

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試合中の生徒達は黙々と真剣にタイピング