マラウイボランティアレポート「マラウイ国の小学校とは」

2021年10月13日

名前:田野辺裕史
隊次:2021年度1次隊
職種:小学校教育
配属先:スザ小学校(カスング県)
出身地:栃木県日光市

私は2021年8月にマラウイ国へ渡航し、9月から任地カスング県スザ小学校で活動をしています。

マラウイ国は、初等教育(プライマリースクール)8年間、中等教育(セカンダリースクール)4年間、その後大学に進学するという教育制度をとっています。私の配属されているスザ小学校には、スタンダード1からスタンダード8(1年生から8年生)まで、約1200名の生徒が在籍しています。初等教育の無償化の影響から、スザ周辺の村に住む多くの生徒が通うことができている一方、途中で家庭の事情や学習の遅れからドロップアウトしてしまう生徒も少なくなく、これが高学年になるほど人数が少ない理由とされています。

また、マラウイ国は都市間の格差が大きく、多くの生徒を抱える一方で、特に地方の学校には教育用具や十分な教育環境が整っていません。日本ではあたりまえだったことが通用しません。たとえば、勤務するスザ小学校の生徒は誰も教科書を持っていません。必要な時は、学校の倉庫から少ない教科書を貸し出すこととなります。生徒は一冊のノートを全教科で使いまわしているために、宿題を出し、回収することもなかなか難しい状態です。黒板は使い古されていて書きづらく、さらにチョークも白一色しかありません。そんな状況のなかですが、子どもたちは元気に学習に励んでいます。

私はスタンダード5の算数の授業を日に4コマ、さらに他学年を1コマ、だいたい日に5コマの授業をメインで担当しています。といっても1コマは35分なので、日本の学校と比べるとかなり少なく感じます。授業は、2人以上の先生で教えるTT(チームティーチング)で行うこともありますが、一人で行う授業が大半です。授業を実施している中で感じるのが、数の概念があいまいなことと、間違った答えの理由を考えないこと。

四則計算はもとより、日常で使う数字を正しく理解できていない様子が感じられます。時計の読み方や、長さの計測など、日々の生活のなかで基礎が培われているはずのものが一切わからないところから始まります。教室にも時計がないので、日常生活のなかで見ることがないのかもしれません。また、昨年度までの学習を覚えている生徒は少数なようで、積み残しも多いです。また、分からない状態のまま、答えだけ聞いて書いてくる生徒が多く、復習や自分の力にする必要性を感じていないのも課題です。

そこで、私は授業や掲示物を工夫し、とにかく視覚化して、体験して身に着けるように工夫しています。また、単元の終わりにはテストを行い、(もちろんコピー機もありませんが)学習の到達度をはかり、生徒の意欲を高めようと努力しています。

まだまだ活動ははじまったばかり。前途多難、試行錯誤の日々です。

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時計の自作教材を使った授業

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学校に掲示したかけ算早見表