マラウイボランティアレポート「スザの教育に残せること」

2022年7月21日

名前:田野辺裕史
隊次:2021年度1次隊
職種:小学校教育
配属先:カスング県スザ小学校
出身地:栃木県日光市

昨年8月からマラウイに入国し、11か月が経とうとしています。カスング県スザでは冬真っ盛り(7月10日現在)。朝晩はかなり冷え込んでいて、アフリカの気温の変化に驚いています。

私の活動も折り返し地点を迎えているところですが、残念ながら目立った成果を残せていないところが困ったところです。現在、配属先であるスザプライマリースクールでスタンダード5の算数を2コマ、ライフスキル(日本の道徳と保健体育をあわせたような内容)の科目を1コマ受け持っています。また、盲目の教員のバイブルノリッジとソーシャルスタディーの科目の板書を手伝い、一日が終わっています。クラスに張り付くような形で活動を行っているため、70人ほどの生徒の名前も覚え、ようやく授業も形になってきたところです。しかし、おおよそ一人で授業をしていることもあり、技術移転や自分のクラス以外の生徒へのアプローチができていないという、ジレンマを感じています。

活動の残りの時間を考えると、今の活動の体制を変えることに力を尽くすのではなく、自分のできる活動の幅を広げ、スザの生徒たちに残せるものを探していくことに力点を置いていくつもりです。

まずは、学年の枠を越えた、補習教室の実施。毎週水曜日の放課後に、四則計算の簡単な補習教室を行っています。高学年にいたっても、簡単な四則計算ができていない生徒の多いマラウイ。理由は、進級テストの40パーセントが四択の問題であり、形骸化していること。かけ算表を覚えていないため、かけ算割り算を行う基礎ができていない。そのような構造的な問題が多く関係しているように感じます。そのため、少人数、意欲のある生徒を中心にして解き方を丁寧に解説し「できる」という達成感や楽しさを生徒の内面から引き出していきたいと思っています。

また、自分が担当しているライフスキルの教科を使った取り組みも軌道にのせていきたいと考えています。生徒の学習意欲が上がらない原因の一つが、自身の将来を具体的にイメージすることに慣れていないことです。(授業中に寝っ転がり、さとうきびをかじっていることを毎度注意する生徒の将来の夢がパイロットです…)職業を含めて、生徒に将来の自分の理想像を考えさせ、それを達成するためには、どのようなことが必要なのかを可視化させ、意識させること。それが、生徒の学習意欲の向上につながると信じて行っていきます。

さらに、学習意欲の向上に、日本との交流も効果があるのではないかと感じています。昨年度末から日本の小中学校、高等学校とオンラインで交流を行っています。文化の紹介や、お互いの生活について質問しあうことで、遠く離れた日本を身近に感じられたようです。実際に交流を行った現地生徒からは、日本語を教えてほしいという話や、将来日本に行ってみたいなどの嬉しい言葉を聞くことができました。自分の住む村だけでなく、視野を広げることも今後の学習にプラスの効果があるのではないかと考えています。

これらは形になるボランティアではないかもしれません。しかし、ハードの面での援助がなかなかできない問題を抱えているマラウイ、スザの教育のなかで、なんとかソフトの面で小さいながらも残せるものを探していきたいと考えているところです。まだまだ試行錯誤、頑張っていきます。

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自分のなりたい職業を考えさせる授業

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クラスに掲示したチャートペーパー