No.20:シンギダ州に新たな種を。コミュニティ計画策定プロセスの実施

2019年10月1日

前回のプロジェクトニュースNo.19では、2018年6月にシンギダ州の全ての地方自治体で3ヶ月に及ぶ郡ファシリテータ研修(WF研修)が実施されました。

あれから一年。
支援体制構築に努めてきたシンギダ州の各自治体では、2019年後半より「コミュニティ計画策定プロセス(注)」の段階に入りました。この段階では、村人等自身が決定した村改善の計画に基づいて活動を進める一方、その村の情報が県にも伝達され、必要に応じて行政サービスが村にも循環しするという仕組みです。

その最初の現場である村での活動を確認するため、2つの地方自治体に絞り、カウンターパートと共に再びシンギダ州を訪れました。
訪問目的は次の2点でした。1)村人が自分たちの村の課題やニーズをどのように現実的な形で改善計画に反映していくかを観察するため。2)その村人たちの議論をどのように郡ファシリテータが理解しつつ適切なリードと方向修正が出来るかを我々が見極め、今後の研修改善につなげるため。

郡行政機関の職員であるファシリテーターにとって、村人を前に「指示」ではなく「ファシリテーション」を行うのは初めてでした。その上、その日の議題は村が直面している既存の課題に対し、いかに実現可能な形で克服していくかを話し合い、村の計画に落とし込んでいこうという、村人の生活に密着した難題です。それでも、各郡に3名ずつ配属されている郡ファシリテータは、協力しあうことで村長、女性グループ、学校の先生、リーダー格の若者達等、村会議に参加している様々なグループの人達を鼓舞し、活発な議論から満足のいく結果が生まれるよう力を振り絞っていました。

【画像】

昨年の目標達成実績に基づいて、今年何が出来るかを話し合う村の計画策定チームメンバー。(シンギダ、ムティパ郡)

訪問の結果、今回訪問した2村とも、この5日間で現実的な計画を議論することが出来ていた点を確認しました。内容も村全体で「必要なもの」を「自分たちで出来ること」にしっかり照り合わせて考えたものでした。

村でのファシリテーションは、郡ファシリテータにとっては長くもあり実りのある5日間だったのではないでしょうか。このような各村の自助努力への道のりが、各地方自治体の支援体制にも協働的な形で反映され続ける必要があります。そのため、村に根付いた自助努力の種を育て続けるよう県側の行政機関を後押しすることも今後のファシリテータの重要な役目となります。

郡ファシリテータは、今回訪問したような村からは遠く離れた事務所に常駐し、日頃職務についています。長い目で見て、村人の中に自分達と同じような志と視野を持つ人材を育成できるよう、郡ファシリテータは毎日目を見張り、郡や県に過度に依存せずとも毎日の課題を村人自身で解決策を講じていけるような環境作りに、これからも日々精進していくことが期待されています。

【画像】

郡ファシリテータの説明に耳を傾ける参加者。(シンギダ、ムトンゲ郡)

(注)コミュニティ計画策定プロセスについてはプロジェクトニュースNo.6、14、17を参照。

【画像】

郡ファシリテータ(左)にアドバイスを求める村のリーダー格(右)(シンギダ、ムティパ郡)

【画像】

グループ討論(シンギダ、ムティパ郡)

【画像】

村事務所の外で議論を続けるグループ。(シンギダ、ントンゲ郡)

【画像】

郡ファシリテータが不在でも多様な意見を纏める村人達(シンギダ、ントンゲ郡)