よりよい研修コースとするために−JICA東京での取組み

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インセプションレポート発表会の様子

世界では年間1,200万人以上の子どもたちが5歳の誕生日を迎える前に亡くなったり、50万人以上の女性が妊娠や出産が原因で命を落としたりしています。

JICAでは、保健分野における様々な協力をアジア、アフリカなど各地域で展開しており、JICA東京でも年間30件近い保健分野の研修コースを実施し、人材育成につなげています。

今回とりあげる「アフリカ地域母子保健看護管理」コースでは、アフリカのナイジェリア、ウガンダ、スーダンなど6カ国から10名の研修員が来日しました。そして実際のコース開始前の5月14日(木)にJICA東京で各研修員がまとめてきたレポートの発表会が行われました。このコースでは、応募時に自分が働いている病院の状況、例えば外来患者、入院患者の数や医者、看護師などの人数、患者の主な病気の種類、地域における病院の位置づけや看護業務の実態、自分の担当業務といったことをとしてまとめ、提出することを義務付けているのです。

レポート発表会は、研修員自身がコースを受講する前に、国や病院が抱える現状や課題を再認識する目的で行っています。そして、また研修中に実習を受け入れる病院の関係者にも参加していただき、実習に参加する研修員の国々の実情を把握し、実習内容に反映させてもらう目的もあります。言い換えれば、レポート発表会は病院実習先から研修員に対して質問、意見等を直接ぶつけられる、絶好の機会ともいえます。

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質問に回答するアテャムさん

当日、ある研修受入先の病院の方から、「日本には、保健師、助産師、看護師の職種があり、看護師は、正看護師、准看護師がいますが、あなたの国ではどのような状況ですか」との質問が寄せられ、ウガンダの研修員アテャムさんが「ウガンダでは、正看護婦、准看護師のほか、さらに、地域を含む様々なレベルの医療施設において適切な看護、介助ができるよう保健師、助産師、看護師の知識や経験を統合した看護師の育成に力を入れています」という回答がありました。

現在、この10名の研修員は7月末まで毎日、研修に励んでおり、締めくくりとして自分たちが帰国して、どのような取り組みができるのか、アクションプランを作成する予定です。そして、 帰国して数ヶ月後に、このアクションプランをどのように実行したかを報告しなければなりません。
研修員にとって、研修は、帰国後も続き、そして、JICAと研修受入先が一体となり、よりよい研修コースをつくる工夫が、これからも続きます。

JICA東京 人間開発課 大蔵純子