日本企業から学ぶ〜ウズベキスタン国別研修「企業経営者上級研修」〜

ウズベキスタンの企業家達12名が来日。企業訪問を通して日本のビジネスを学ぶほか、ビジネスセミナーでの発信を通して、日本のビジネス関係者との交流を行いました。

(2015年2月)

ウズベキスタンとJICA

 ウズベキスタン(ウズベキスタン共和国)は中央アジア5ヵ国の内の一つです。1991年にソビエト社会主義共和国連邦(当時)から独立しました。かつてはシルクロードの中継地として知られ、現在は天然ガスや金などの地下資源の輸出を中心に安定した経済成長を続けています。今後一層の経済成長を遂げるためには、ビジネス環境や投資環境といった経済インフラ整備が不可欠となります。
JICAは2001年にウズベキスタン対外経済関係・投資・貿易省と共同で「UJC(ウズベキスタン日本人材開発センター)」を設立し、首都タシケントを拠点としてビジネス人材育成のためビジネスコース研修を 実施しています。
ビジネスコース研修では、開所 以来14年間で約9000名の修了生を輩出しており、中でも、中核プログラムであるPMP(Professional Management Program)は、実践的なビジネススキルを学び、事業計画に生かせる研修 として高く評価され、広く認知されています。PMPで学んだ多くの修了生が同国経済を牽引する企業家として活躍しています。

「企業経営者上級研修」の実施

 2011年度からは、UJCのビジネスコースで学習した知識の実践的活用を目的とした「企業経営者上級研修」が実施されています。本研修では、ビジネスコース修了生が研修員として来日し、日本企業のビジネスモデルを肌で感じることができる場が設けられています。
4回目となる今回は、12名の研修員が2月14日から2月24日の日程で来日し、まずは大阪で様々な規模の製造工場を見学し、東京では商社や広告代理店を訪問し、日本の商取引について学びました。ショールームや科学館の見学を通しては、日本の最先端技術に触れることができました。参加した研修員は、観光や医療、IT業界など多方面で活躍している企業家達で構成されています。

初の「ビジネスセミナー」の開催

ビジネスセミナーで自社のプレゼンテーションを行うアリシエールさん

 今回の研修では初の「ウズベキスタンビジネスセミナー」が大阪と東京の二か所で実施されました。研修の一環として行われたこのセミナーでは、ウズベキスタンとのビジネス取引に関心を持つ企業の担当者を中心に、同国のビジネス環境やトレンドを伝えた他、研修員が両国間のビジネスに関するプレゼンテーションを行いました。セミナー後も参加者による活発な交流が続き、大盛況で幕を閉じることができました。
また、同セミナー参加者と研修員の間で具体的な商談の話がでるなど、早速成果が表れ始めています。

ウズベキスタン研修員からみた日本企業

研修最終日の評価会で笑顔を見せる、研修員のみなさん

 研修員からは、「日本企業は、企業規模の大小に関わらず、皆情熱をもって仕事に取り組んでいること」「自社の能力を正しく評価し、強みを生かそうとしていること」「サービス水準が非常に高いこと」などについて大変感心した、といった声が聞かれました。
「複数の工場を視察し、製造現場にも関わらず床がとてもきれいだったことに驚いた。」「5S(整理・整頓・掃・潔・躾)という言葉は来日前から知っていたが、日本に来て、現場を実際に見たことで、5Sについての理解が深まった。」「マーケティングリサーチが優れており、購入者がほしいと気が付いていないものまでニーズを把握して、購入されるための工夫がさりげなくされていることに感心した。」などのコメントもありました。
研修以外でも、日本人に親切にしてもらったエピソードが語られるなど、ビジネスモデルにとどまらず、日本のおもてなしの心にも感銘を受けたようでした。

研修を振り返って

研修最終日、修了証を手に記念撮影

 研修員からは「日本で学んだことを自国に持ち帰り、ビジネスに生かしたい。」「セミナーで様々な話ができてよかった。」といった発言があり、大変有意義な10日間であったようです。
ウズベキスタンのビジネス活性化のみならず、今回の研修をきっかけに両国のビジネス交流が深まることが期待されます。お互いの国の関係が今後さらに深まることを願います。


産業開発・公共政策課 高澤 明子