首都ジャカルタの交通渋滞解消に向けて 〜ジャカルタMRT事業運営維持管理〜

電車で移動中の一コマ

ジャカルタに一度でも降り立ったことがある人は誰もが経験したことのある交通渋滞。この渋滞解消に向けて、現在、都市鉄道の整備が進められているのをご存知ですか。JICAはこの一大事業に、円借款による資金協力のみならず、都市鉄道の運営等ソフト面を支援するための技術協力を行っています。

この都市鉄道整備事業に携わるインドネシア人11名が来日し、2015年1月19日から30日までJICA東京の「ジャカルタMRT*事業運営維持管理」研修に参加して、鉄道の安全なオペレーション、運転士/車掌の育成、エキナカビジネス、駅周辺開発事業等について、東京・大阪の鉄道事業者や国土交通省、自治体からその経験を学びました。

ホーム上の自動販売機でICカードを使って飲料水を購入、ICカードの多様な用途を実感

研修員たちの滞在中は連日電車で移動し、日本の列車運行の正確さ、快適さを実感すると共に、その背後にある各社の企業努力や意識に触れ、2018年の開業を目指す自国での運営体制についても、活発な議論がなされました。

また、「エキナカ」と呼ばれる駅構内の商業施設や駅周辺の開発については、新しい構想だが、利用者の利便性向上のためにもぜひ検討していきたいとアイディアを膨らませていました。

浸水被害防止のため駅入口に埋め込まれた止水版。非常時には電動で立ち上がる。洪水が頻発するジャカルタにも参考になる。

日本が長年蓄積してきた経験とインドネシア人の柔軟な発想が相乗効果を生みだし、首都ジャカルタの渋滞解消や市民の利便性向上、ひいては経済の発展に寄与することを期待します。

(2015年1月)

*MRT(Mass Rapid Transit):大量高速輸送の意味で、大都市の渋滞緩和などを目的につくられる、鉄道などの交通システム。