ベトナムでの「消費者」保護意識の高まりのために〜「商品テスト」研修〜

国民生活センターにて、相談業務についての講義を受ける

ベトナムより行政官10名が来日し、消費者保護行政について学びました。

「消費者」って何?

ライオン小田原工場を見学

 ベトナムでは、まだまだ「消費者」という概念が充分に普及しておらず、消費者被害の被害者が充分に保護されない現状があります。
 このような背景を受け、JICAは、ベトナムにおいて「消費者保護行政強化」プロジェクトを展開しておりますが、日本の消費者保護行政を実際の目で見て学んでらおうと、今回、プロジェクト活動の一環として、ベトナムにて消費者行政に携わる行政官10名を、2015年3月上旬より中旬まで約2週間、研修員として日本へ招聘しました。

日本の消費者行政を知る

埼玉県消費生活支援センターを訪問

 研修員10名は、来日期間中、消費者庁、国民生活センターにおいて消費者保護行政に係る講義を受けました。消費者庁では、地方自治体への財政支援、政策立案のための調査等について、また、国民生活センターでは、相談業務、広報活動、記者説明会等について、学びました。
 また、国民生活センター相模原キャンパス、埼玉県消費生活センターを訪問し、実際の商品テストの様子を見学するとともに、行政による商品テストの取組を学びました。
 更に、ライオン小田原工場、製品評価技術基盤機構、農林水産消費安全技術センターを訪問し、企業による製品安全の確保、製品安全行政、また、日本の食品表示制度等について、学びました。
 研修の最後には、全国消費生活相談員協会を訪問し、消費者団体の運営についても学びました。

ベトナムでの実践に向けて

国民生活センターにて、記者説明会の様子を見学

 ベトナムでは、消費者保護に係る法的枠組みがまだ充分に整備されていない、また、消費者行政機関が中央省庁のみにしか存在しない等、今回の研修中、日本で見聞した消費者保護への取り組みをベトナムで実践するためには、乗り越えるべきハードルがまだまだ多いようですが、これから、各研修員が、ベトナムにおいて消費者保護行政の体制整備への取組を進めていく際に、今回の研修において学んだ見識は、間違いなく役に立つものと確信しています。
 また、今回の研修は「商品テストの活用の重要性・有用性」を理解することが目的の一つでしたが、研修の最後に、研修員より「商品テスト部門によるテスト結果が、消費者トラブルを解決する際の科学的根拠になるという点で、商品テスト業務は大変重要な業務であることが理解できた」との感想も得られ、一定の研修成果を得たものと思います。
 今後の、ベトナムでの消費者保護意識の高まり、また、消費者保護行政の発展を願ってやみません。

産業開発・公共政策課 川津 詩乃 (2015年1月)