タンザニア国歳入庁および直属の研修所である税務研修センターより行政官9名が来日し、JICA東京国際センターにてOJT制度の確立について学びました。
OJTとは「On the Job Training」の略で、企業や組織におけるスタッフ教育・訓練方法のひとつです。仕事の現場で、上司や先輩が指導役となって後輩に対し仕事に必要な知識やスキル、ビジネスマナーなど実践を通じて身につけさせていくもので、主に新人スタッフ教育の最終段階で
行われることが多いです。
今回来日したタンザニア研修員の所属組織でも新人研修などは実施しているものの、ニーズと内容が十分合致していなかったり、指導役が多忙で準備時間がとれない、あるいはノウハウ不足だったりと課題も多く、人材育成の見直しがなされるなかでOJTの効果的な導入が検討されています。
研修員9名はJICA東京国際センターに滞在しながら、一般社団法人金融財政事情研究会の協力のもと、産業能率大学総合研究所の講師よりOJT概論や導入の手段、OJT実施における障害と対処法など講義やグループワーク等による指導を受けました。また実際にOJTを導入している森・濱田松本法律事務所を訪問して事例を学んだほか、職場見学という貴重な機会にも恵まれました。
1週間という短い研修期間のなかで、研修員たちは効果的なOJTの導入について白熱したディスカッションを重ね、問題点を整理しながら今後の取り組みについて検討しました。そして、自国の所属組織でどのようにOJT導入を目指すかという帰国後の実践に向けたプランをまとめ、研修最終日に成果発表をしました。また、研修員代表のJAIRO氏は、帰国後には今回の研修で得た知見を所属先で活かすことを約束すると強く述べていました。
日本で得た知見や経験をタンザニアに持ち帰った研修員たちが今後リーダーとなって税務職員の能力強化を果たしていくとともに、タンザニアと日本の架け橋がますます強いものになることを願っています。
(*)タンザニア税務研修能力強化プロジェクトはタンザニア歳入庁(TRA)職員および関係者の能力強化への支援を通じて、同国の緊急の課題となっている税務行政の執行能力の強化により歳入増加を図ることを目的としています。
JICA東京 産業開発・公共政策課 鈴木